盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
花巻市「円万寺」からの眺め。
傾いた陽射しが大地と屋敷林を照らす。
一面の黄金色。
早池峰山の頂には雲。
黒い鳥が舞う。
田圃一面に水がひかれ、海と浮島の様に見える春。
秋は、黄昏がいい。
そう想うのは歳を重ねたせいだろうか。
冬はここには上がれない。
きっと彩度を失ったモノトーンの世界だろう。
一度、見てみたい。
Olivia Newton-John – Magic
<音楽が流れます、音量に注意>
9月23日、彼岸。
花巻に実家があるが、このところ足が遠のいている。
血の繋がりが薄れていくからだろうか。
実家には寄らず、まずは夕飯。
花巻にはやみつきになった味がある。
一緒の人と向かったのは「姐妹 シスター」。
殆ど席が埋まっていた。
早めに来て正解だった。
火鍋の店だ。
「あら、いらっしゃい」
この自然な笑顔にやられる。
火鍋のセットにしてスープはちょい辛の麻辣と白湯にした。
初心者の時はトマト系のスープだったが、
今は火鍋の神髄を楽しむ。
煮えたぎるのを待つ間に燃え上がる食欲。
ぐつぐつしてきた。
野菜を入れ始める。
豆苗の緑がいい感じ。
野菜も木耳もたっぷり。
セットには二種類の肉も。
初のハチの巣。
オーナーが言う。
「煮込めば煮込むほど、美味しいよ」
そり通りだった。
これも初めて食べる凍り豆腐。
ハチノスと同じで、煮込むほどに深い味に変わる。
最後の方になると、やわらかくスープが染みて何とも言えない美味しさ。
ふだんはこの手のものはあまりいただかない。
しかし、これは別物だと思った。
春雨。
もともと幅の広いサツマイモの春雨だが、これは何だろう?
さらに幅が広い。
一緒の人が言った。
「とれたばかりのイカのようだ!」
艶々としてイカと言われたら、そのまま口にしてしまいそうだ。
つるつるして好きな食感。
喉越しもよく美味しい~
そろそろしめようかなと思っていたら新しいメニューがあるという。
「あのね、海老のつくねなの」
いつも忙しい中、あちこちのテーブルに声をかけている。
早速、食べる事にした。
ビニール袋から絞り出す。
適当なところでちぎる。
鍋に入れて2、3分で浮いてきたら食べごろと言われた。
ぷりぷりしてしっかり海老の風味がする。
「どうです?」と通りかかったオーナー。
「美味しい!」
「あ~よかった」
何気ないやりとりだが、心も満腹になってくる。
まだ食べられる。
いや、食べたい!
細麺の中華そばがスープとよく絡む。
白湯と麻辣の二種の味を味わう。
あっという間になくなった。
仕上げはそうめん。
するすると喉を過ぎてしまう。
相当食べたのに、なんだかまだいける気がする。
会計しながら、オーナーに言った。
「今日も美味しかった、海老のつくねもいいですね」
「よかった、明日元気になるよ」
「いや、もう元気いっぱいです」
笑い声に送られた。
火鍋を食べたのに故郷の味の様な気がした。
今では、遠くから食べに来る人もいるようだ。
火鍋「姐妹 シスター」