盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
トンカツ好きの人と会った。
というか「むら八」が気に入っている人。
久し振りで連絡が入ったが、
待合わせは予想したとおり上田のむら八。
私も大好きな店で、毎月の様に食べに行く。
夕方になって出かけた。
Shiny Stockings · Count Basie And His Orchestra
<音楽が流れます、音量に注意>
その人は入口近くに立っていた。
すぐに中へ。
まだちらほら席が空いていた。
ここはゆったりとした席の配置で、
隣や背中合わせの人達を気にしなくてもいい。
店のスタッフの応対も丁寧と評判だ。
まず、メニューを開く。
期間限定の特上のロースカツがあった。
待つ間、互いに近況の話。
しばらくしてテーブルに登場。
店の方が「始めに塩で食べてみて下さい」。
ひと切れ目は何もつけずに食べた。
サクサクのころもに閉じ込められた豚肉の甘味!
口の中から幸せが広がってきた。
美味しい~
次は岩塩。
いっそう甘味が増す。
引き締まった肉質、ほんのり桜色。
最後の二切れはむら八特製のソースでいただく。
勿論、擦りごまをふりかける。
三種の味を楽しんだ。
むら八では、ご飯とキャベツ、味噌汁がお代わりできる。
丁度、食べ進んだ頃、スタッフが「キャベツのお代わり、いかがですか」
と来るのでたいてい盛ってもらう。
梅紫蘇系のドレッシングで爽やかにいただく。
若い人たちはご飯のお代わり。
私は、キャベツと時々、味噌汁をお代わりする。
一緒の人が、トンカツの歴史を話し出した。
明治時代に煉瓦亭でポークカツレツというメニューを出したそうだ。
たっぷりの油で揚げた形になった。
昭和初期にポンチ軒という店で今の形になったという。
ところが、明治23年頃に発行された観光ガイドブックに
豚のカツレツとして書かれていた。
それ以上の事は分からないと締めくくった。
はっきりした起源はともかく、
明治、大正、昭和初期にかけてカツ丼やカツカレーも登場した。
洋食が普及し始めた時代、調理人は様々な工夫を凝らしたのだろう。
その頃の洋食の世界は、さぞ活気に満ちていた事だろう。
一緒の人は、「ねぎみぞれカツ定食」だ。
期間限定で、今日が最終日だった。
生姜とにんにくのきいた醤油と豆腐醤油もついてあった。
色々な味を楽しめる工夫。
夏の日にさっぱりとしたねぎみぞれカツ。
食べながら「この工夫がいいよね~」とご満悦。
以前、料理長さんに聞いた事がある。
季節は勿論、その日の温度や湿度などにもよって味を調整するそうだ。
これが創業昭和12年、老舗のハレの日の陽食屋「むら八」の伝統。
ここのスイーツもいい。
その日はプリン。
冷えた器に入ってきた。
これぞプリン!
滑らかでしっかりとした味、美味しい。
プリンを食べながら、
以前、南大通に店があった頃の話になった。
店の中に確か池があり、紅い太鼓橋が架かっていた。
あの頃を知っているのだから、私たちも年を重ねてきたものだ。
それが今宵の結末だった。