盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
盛岡市の中央通り。
官庁街や金融機関が建ち並ぶ。
マロニエの並木。
一本いっぽんがビルに負けない大樹に育っている。
信号待ちの間に見ると、既に実が大きい。
栃の実が鈴なり。
もう、そんな季節か。
栗に似た実がなる。
盛岡城址の公園にも大樹があり、
夏に幼い子と拾いに行った。
早起きして気の進まない幼稚園児の娘の手をひいた。
斜面に沢山落ちていた。
男の子がいた。
傾いた場所もなんのその、足を広げどんどん袋に入れる。
それを見て、娘が怒った。
数メートル近くまで行き、両腕を腰にあて睨む。
「そんなに独り占めしちゃいけないんだよ、もうやめなさい!」
と叫んだが、男の子はかまわず大きなレジ袋にいっぱい。
娘の小さな手には数粒。
きっと悔しかったのだろう。
ゆっくり散歩した帰り道、開いているカフェでひと休み。
アイスクリームで機嫌がいい。
「こんどは、いっぱいとりに行こうね」
と言うので、
「どうするの?」
栗の様に茹でればすぐ食べられると思っていた様だ。
【小野リサ】Sá Marina
<音楽が出ます。音量に注意>
立葵の花もてっぺん、栃の実も鈴なり。
そろそろ始まる直利庵の夏の風物詩。
暗くなりかけた頃、いそいそと出かけた。
近くにまたマンション。
それでも直利庵は負けていない。
威風堂々。
店の方に聞く前に見つけた壁の貼り紙。
始まっている。
店の方がそば茶をテーブルに置く前に言った。
「野菜そばをお願いします、始まりましたね!」
「はい、7月から始めました。」
釜揚げシラスも頼んだ。
まだ活き活きと飛び跳ねそうだ。
小さなガラスの醤油入れもいい感じ。
大根おろしと一緒に口に運ぶ。
美味しさに少し目を閉じた。
いよいよ登場、直利庵の夏の風物詩「野菜そば」
一年ぶりだ。
オレンジの人参、鮮やかな緑のピーマン。
香り豊かな削り節。
その下に敷かれた玉ねぎ。
一番下に品のよいそばが隠れている。
丸く盛りつけられ、奇麗だ。
硝子の器は十分に冷やされている。
職人技の包丁が薄く、細かく切る業を一度見てみたい。
そばにつく薬味のネギも包丁でスライスされる。
吹けば舞い上がりそうな薄さなのだ。
この薄さゆえ汁によく絡むが、そのまま食べても瑞々しく美味しい。
勿論、そばはいうことなし。
あっという間に汁まで完食。
そば湯を飲んでひと息。
美味しく幸せな時間の締めくくり。
老舗ながらバリエーションの豊富なメニュー。
カツ中華など珍しいものもある。
いつか女将さんが話していた。
「基本となるのは汁、これがしっかりしていないと。」
その時、スポーツも同じだ、基本を大切にしようと思った。
あれ、そのことを忘れていた。
今度、体育館に行ったら基本だ。
帰りに女将さんに挨拶。
両手で包丁さばきの真似をしながら言った。
「凄いですね」
女将さんは微笑んで頷いた。
店を出た時、明日も食べたいと思い、自分で苦笑い。
明日から盛岡界隈は、雨の日が続くらしい。
直利庵(ちょくりあん)
〒020-0871 岩手県盛岡市中ノ橋通1-12-13