盛岡食いしん爺日記
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盛岡の夕暮れ。
思い出の多い桜山界隈。
看板の明かりが灯りだす。
昔々この近くでサラリーマンだった。
仕事に区切りがつくと、その日は早めに切り上げ、
先輩達の後ろをついて歩いた。
ぞろぞろとネクタイ族が集まり、
各々の馴染みの店へ吸い込まれていく。
懐かしい街。
Beyond The Sea · Rod Stewart
今宵の夕飯は、この界隈でも老舗の「白乾児(パイカル)」。
ここの餃子が食べたくなり、仕事仲間を誘った。
その人も好きな店。
二つ返事で桜山へ向かって歩き出した。
先代が昭和28年に桜山に「餃子のパイカル」を創業。
二代目は東京の名店や市内で修業し、後を継いだ。
かれこれ70年を越えた。
今はカウンター席だけだが、昔は2階もあった。
店の作りがいい。
入口は戸が並び、どこからでも入れる。
硝子戸を引くと目の前が椅子。
食べて会計したら、どの席からもすぐ出られる。
一緒の人は、
「ビーフンか、シュウマイもいいなぁ~ でも味噌ラーメンにしよう!」
陽か沈むと風が冷たかった。
たっぷりの野菜の旨味がスープをまろやかにしている。
辛子味噌が味をひきしめる。
などと、ブツブツ言いながら美味しそうに食べていた。
私は、餃子とチャーハン。
ジューシーでたっぷりの餡が透けて見える。
味の確かさを舌が知っている。
先代の味をベースに、ますます美味しくなっている。
集中して中華鍋を握るオーナーの後ろ姿。
まだまだ味の追求は続いている風だ。
餃子は口の中で野菜と豚肉の旨味が溢れ出る。
皮のもちもちは言うまでもない。
先日来た時は、ネクタイ族が残業前の腹ごしらえ。
昔と違うのは、女性もひとりで来てはスマホ片手にビールと餃子。
今日は、若いカップル。
餃子をそれぞれ一皿ずつ。
女性は麻婆豆腐定食。
実は作るところを見ていた。
豆腐一丁が惜しげもなく入れられ中華鍋で踊る。
その人は脚を組みながらぺろりと平らげていた。
綺麗な色で美味しそうだ。
いつか食べてみたい。
チャーハンが置かれた。
炒めた玉子のいい匂い。
隣の視線を感じた。(笑)
チータンスープも美味しい!
スープに玉子がたっぷり。
見た目も綺麗で具沢山のチャーハン。
噛むほどに幸せ気分が増してくる。
満足して店の外へ。
仕事仲間と別れ、ひとり路地を歩いてみた。
中学生の頃、父に連れられ初めて入ったパイカル。
昼だったが椅子に座り、一人前になったつもりで食べていた。
社会人になり、父と一度だけ呑んだ事がある。
その時も桜山だった。
父は60代前半で病に伏したが、
もっと呑んでおけばよかった。
亡くなった後、その店に行った事がある。
名前の書いたボトルが残っていて一緒に行った友達と飲んだ。
もう、その時の店はないが、父と来たパイカルは元気だ。
まだ岩手県庁や近隣のビルの灯りは煌々。
若い店主の店も増えたが、今も昭和の雰囲気漂う桜山。
盛岡の宝だと思っている。
ずっとこのままでいて欲しい。
白乾児 (パイカル)
盛岡市内丸4-8
通称「桜山」にあります。

















