す
盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
車の窓から差し込む、夏の様な陽射し。
黒いジーンズの下の肌が少し痛いほど。
子供の頃、紙の真ん中を黒く塗り、
虫眼鏡で太陽の光を集めた。
あっという間に煙が立ちのぼり、小さな炎。
子どもの頃は、様々な事をしたものだ。
こう暑くなってくると、食べたくなるものがある。
中ノ橋通の駐車場に車を停めた。
旧町名葺手(ふくで、ふきでとも)町。
盛岡らしい町並み。
そこから路地に入る。
愛染横丁と呼ばれる数十メートルの路地。
豆と喫茶のWaltz(ワルツ)やイタリアンの名店filo(フィロ)があり、
威風堂々の盛岡信用金庫の裏手にある北田屋。
玄関の傍らにプランター。
すずらんの白く可憐な花。
NOVA - Chega de Saudade - Antônio Carlos Jobim
<音楽が流れます、音量に注意>
入ってすぐオダマキ。
自分でそば湯を蕎麦猪口に注ぐ。
店の人が「新しいそば湯をたっぷり入れました、おかわりどうぞ。」
「はい、ありがとうございます。」
何気ないやり取りとそば湯で、ほっと。
メニューを見ると、迷い出すので、すぐに頼んだ。
食べたかったのは「冷たぬき」の「大」。
中ノ橋通の北田屋は、昭和15年頃から始まり、今は2代目。
昭和53年に「冷たぬきそば」が始まり、もう45年。
サラリーマン時代にはランチのほかに残業前の腹ごしらえ。
リーズナブルで若い頃は助かった。
そば定食も色々あり、かつ丼、天丼もいい。
中華そばも人気だ。
昼時は今も地元の人で賑わう。
今日は2時近い。
ゆっくり食べられる。
自家製のそばは細め、風味よく、喉越しもいい。
サラリーマンは、もりそばを2枚、3枚と食べる。
飽きのこない味。
さて、「冷たぬき」を食べ始めよう。
サクサクの小粒の揚げ玉。
だんだんと冷たい汁を含んで、蕎麦と絡まり一層、美味しくなる。
汁がほどよく甘くなりと、ワサビが味を引き締める。
あっという間に胃袋に消えた。
残った揚げ玉と汁を少し飲み、ゆっくりそば湯を楽しむ。
北田屋のご夫婦と話すのも楽しい。
二人は数年前まで、よく山登りをしていた。
早池峰山には40回も登ったそうだ。
店の中に旦那さんの撮った山野草の写真が飾られている。
しかし、年を重ね下山の時の足に自信をなくし、山を諦めた。
今は、低い山を散策している。
中ノ橋通から展望台のある愛宕山に。
そこから高松の池に下りて行く。
帰りに岩手大学の植物園を見て来るそうだ。
ゆうに10キロはありそうだ。
色々と話して会計。
リーズナブルな価格でありがたい。
駐車場に戻り、ひと息ついていると、愛宕山の展望台に行ってみたくなった。
車を走らせた。
盛岡グランドホテルを回り込み、狭い道に入る。
すぐに展望台が見えてくる。
あまり広くはないが駐車場もある。
そこから平坦な道。
ゆっくり歩いても数分で展望台。
盛岡の街を展望する場所は、岩山がメジャー。
岩山より低いが眺めは、とてもいい。
残雪が残る秋田駒ケ岳。
春の陽に山並みは青く。
遠く霞んで矢巾町の岩手医大の附属病院の建物も見。
こうしてみると、ずっと南にも市街地が続いている。
盛岡も都会っぽくなったものだ。
街の中を北上川、雫石川や中津川などが流れる。
川の流域の緑、多く架かる橋。
これも盛岡の特徴だろう。
麓の方では運動会の練習だろうか。
マイク越しの先生の声も聞こえる。
ここまで歩いて高松の池に下る散策。
いつか挑戦してみよう。
今日、久し振りに来た。
なんだかちよっと得した気分の一日だった。
盛岡市中ノ橋通一丁目
そば処 中ノ橋「北田屋」