盛岡食いしん爺日記
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北国の冬らしい曇り空。
風も冷たい。
先週、岩手の北の沿岸部では、
一気に数十センチも積もった。
盛岡でも15センチほどの積雪。
溶けるのも早かったと思うが、大変だったことだろう。
自分の一番古い記憶は、雪の日の光景だ。
父に手を引かれボタン雪の降る街を歩いていた。
板塀にうずたかく積まれた雪。
暗がりの中を急いでいた。
記憶は次の光景に移る。
暖かい部屋で母がベッドに横たわり、
傍らに赤ちゃんが顔を出していた。
'S Wonderful · Diana Krall
夕暮れ時に雪が降ると、
たまに思い出すモノクロの記憶の欠片。
午後になって出かけた。
仕事が済んで4時半。
そろそろ店じまいも近い戸塚珈琲店へ。
窓際の席から見える病院。
昨年の秋の手術後、
定期的に検査に来ている大きな病院だ。
今度は4月に来る予定。
南側の窓から、岩手県庁が見える。
ブラジルとチーズケーキ。
ある人にすすめられたチーズケーキ。
それから何度か食べている。
濃い味ながら滑らかで爽やか。
雪のように白いチーズケーキは、珈琲とよく合う。
仕事で一緒だった人は、ミルクティーとバナナケーキ。
バナナの風味がきいて、散らしたナッツの食感に喜んでいる。
とても美味しいミルクティーだと感激していた。
珈琲もスイーツも丁寧に作られていると思う。
こじんまりとしているが、とても落ち着く空間。
今日は早めに店じまいの予定だったが、
「30分ぐらいいいですよ、ゆっくりしていってください」と、オーナー夫妻。
2人ともあっという間に飲み干し、食べてしまった。
時計を見たら、15分ほどしか経っていない。
それなのに、満足して心が整う感じ。
会計に向かうと、
「せかしたようで、すいません」
「いえいえ、十分、ひと息つかせてもらいましたよ」
ドアを出ると奥さんが、
車の中にいたワンチャンを抱っこして見せてくれた。
そうか冬は車で待っているんだ。
昨年の夏に来た時は、外にいて通りかがる人に
撫でられていた。
「こんにちは、また来るからね」と挨拶。
美味しい珈琲とスイーツ。
それに、ワンチャンとの再会。
前に来た時も思ったが、今度はランチに来てみよう。
素敵なオーナー夫妻との話もご馳走だった。
そう言えば、戸塚珈琲店のことを誰かが言っていた。
「美味しくて居心地のいい店なんです。」
<メニューの店主の言葉>
深煎りで「初めの香り」「中味」「飲み終わる頃の余韻」と、
豆の個性を活かした表現を目指しているなどと書かれ、
終わりに「その日、その時の最高の一杯、最高のひと皿を提供させていただきます。」
と書かれていた。
紙は古くなっても言葉は活き活き。
そう言えば、この店の開店もコロナ禍だった。