盛岡食いしん爺日記
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2016年の1月ブログを始めた。
きっかけは・・・
なんだかはっきりしない。
とにかく8年が過ぎた。
2018年にはブログをもとに、
「盛岡くいしん爺のもりおかじまん」を発行。
当時、盛岡芸妓だったとも千代姐さん。
江戸時代から続く茣蓙九(ござく)という「森九商店」の
中庭に入る和服姿を表紙に。
撮影は松本伸さん、
デザインは、さいとうゆきこさん。
アポなしで、ふらりと入って取材。
あの頃、
風景が無くなったら、なんて考えもしなかった。
やはり街は生きていた。
菊の司酒造は移転し、建物は惜しまれながら消えた。
向かいにあった角打ちの平興商店も今はない。
今にして想う。
本にしておいてよかった。
いつか誰かが懐かしんでくれればいい。
変わらない光景もある。
クラムボンは、後を継いだ娘さんが頑張っている。
ホームスパンの工房をまた訪ねてみたい。
昨日の雨が上がった朝、
そんなことを思う
Love Castle. Chick Corea
2021年には、ほぼ同じメンバーで、
「盛岡くいしん爺のまちを歩けば」
表紙は、テレビや料理研究家として人気の千葉星子さん。
この時もアポなし取材。
何人かの盛岡好きにも参加を依頼。
ニューヨークタイムスで話題になる前から、
まち歩きを開催していたトラベル・リンクさんとも歩いた。
直利庵に行った時、
周りを高いマンションに囲まれても、
なお変わらず威風堂々に見えた。
明治創業の老舗そば屋。
先日、牡蠣そばを食べようかと思い、
行ってみたら「たちこそば」も「牡蠣そば」も完売だった。
食べたのは、天丼。
一緒に行った人は鴨カレー南蛮。
いい具合のとろみ。
鴨肉とつくねが入る。
ネギが甘くて美味しいと満足顔だった。
天ぷらの美味しいのは勿論、つゆが最高だ。
一見、濃く見えるが口あたりは軽い。
これだけでもご飯がすすむ。
その人も直利庵のファンだ。
そば湯を飲みながら、
直利庵の名物の話になった。
タラの芽とレモン天。
山菜の天ぷらの時についてくることがある。
予想を外してほどよい酸味。
一度、口の中をリフレッシュ。
松茸の菊花浸し
汁まで飲んでしまった。
子持ち鮎のそば。
刻んだ茗荷がいい。
鮎は頭から口の中で零れていく感じ。
高湯豆腐の煮びたし
出汁のきいた汁が染込んだ高野豆腐。
こんなに美味しいものだったのか、と思ったものだ。
ねぎの上にのった白子。
北海道では「たち」と呼ぶらしい。
今や直利庵の冬の名物「たちこそば」
白子は口に入れた瞬間、消えてしまう。
女将さんは蕎麦猪口を集めるのも趣味らしい。
オニオンそば。
たっぷりの鰹節。
下に甘いオニオン。
そばはその下で出番を待つ。
夏限定の野菜そば。
ニンジン、ピーマンがたっぷり。
鰹節がさらに汁のコクを深くする。
温かいとろろ蕎麦には、海苔がたっぷり。
そして今の時期に登場する牡蠣そば。
ワカメの上に横たわる牡蠣。
テーブルに置かれると、柚子が香る。
牡蠣はくさみもなく旨味が詰まっている。
変わり種のカツ中華。
中華そばも人気だが、そこにカツがのる。
不思議なことにころもは剥がれない。
たいてい、少しの覚悟をもって食べるが、
ふやけずにサクッとしたカツに驚く。
定番のカツ丼。
飴色の玉ねぎ、美味しいカツ。
言うことなし。
なんといっても美味しいそば。
品のいい味だ。
昔、あるお爺さんから、
残ったそばの端切れの食べ方を教わった。
箸を直角に立てるとすぐ摘まめる。
どれを食べても美味しい。
老舗は、基本のつゆを守りつつ進化する。
今度は早めに来て牡蠣そばを食べようと解散。
創業は明治17年。
130年を越える歴史のある老舗、直利庵。