盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
ボーナスが出たり、クリスマスがあったり。
賑やかな盛岡の街。
でも、コロナ前とちょっと違う。
繁華街で大勢のグループを見かけない。
街に流れるサンタやモミの木の飾りや
流れるクリスマスソングもさほど聞かないうちに過ぎた。
裏道に残る雪。
風は例年より、冷え冷え。
そんな気がする盛岡の夜。
In A Sentimental Mood · Scott Hamilton
繁華街のど真ん中、地下にある「しょうが焼きや」へ。
しょうが焼き大ファンの方と一緒に。
ドアの隙間から賑やかな笑い声。
店のオーナーは、元気な声で迎えてくれる。
カウンターとテーブル席が一つ。
「あら千葉さん、奥へどうぞ」
テーブルに置かれた水は、湯冷まし。
寒い時期の心遣いに一緒の人は、
「そうそう、これだから、いいよね~」
おもてなしは水から始まっている。
ほどなくして置かれるサラダ。
大ぶりのどんぶりに山盛りの野菜。
ほどよいドレッシング。
夏はレタスを使うが、
寒い時期は体が冷えないように白菜。
一緒の人が、
「気配りが凄いなあ~」
しょうが焼きができるまで野菜をたっぷり。
瑞々しい野菜は食べ飽きない。
むしろ体が喜んでいる。
「これ、気になるなぁ~」
とメニューを指差す。
「和風ふわふわ玉子焼き」
量を聞いてみた。
「玉子3個使ってます。」
2人で分ければ丁度いい。
「一つお願いします~」
「ふわとろ、って言うやつだね~」
私も食べてみる。
甘すぎず柔らか過ぎず、
絶妙のふわとろ感。
美味しい~
ひと足先に向かいの人のしょうが焼き。
「お先に~」
この店がお気に入りの人は、
箸を持つのも素早く、嬉しそう。
中東のふりかけ「デュカ」も。
私のしょうが焼きがきた!
半分ほど食べすすんだ向かいから、
遠慮のない、もの欲しそうな視線。
少しずつ交換。
「シェアというやつだ、ここ3年はしにくかったなあ~」
確かに、はっきりと断り書きのある店もあった。
いつの間にか消えたが、
アクリル板越しに食べる店も珍しくなかった。
そんな話になった。
「そうそう、なるべく会話しないで食べて下さいとかね」
今ではマスクをかけない人も多い。
「私は、防寒にもなるんでマスクはつけてるよ」
確かに鼻や口が潤い暖かい。
食べ始めると私たちは静かになった。
カウンターの人たちは、
ワインを飲みつつ方言の話で盛り上がっている。
美味しい物を食べ始めて黙食状態。
しょうが焼きの焦げ目はやんわり狐色。
キャベツの千切りは、たっぷりの汁に浸して。
あ~美味しい!
ご飯にデュカをのせた。
スパイーシーでナッツの食感。
和と洋の間の味になった気がする。
一緒の人は「シルクロードだわい~」とはしゃぐ。
ポークと生姜は、長年連れ添った仲良しの夫婦のようだ。
しっかりとしたポーク。
噛むと滲み出る豚肉の旨味。
端っこの脂身の甘味。
影で、しっかり生姜が味を整える。
美味しい~
キャベツと一緒にのせて食べると、ご飯がすすむ!
身体が元気になる~
味噌汁もたっぷり。
仕上げは珈琲ゼリー。
今夜もオーナーの見送り。
一緒の人が「これなんですか?」
「これは、融雪剤を捲く器械なの」
ビルのオーナーが使うそうだ。
外は寒いのに話につき合い、送ってくれる。
「美味しかった、来てよかったです~」
「いつもありがとうございます。」
温もった身体(からだ)。
「身体」という字は、「しんたい」とも読むが、
「からだ」とも。
体の他に心や精神も含む時に使うそうだ。
疲れた体を癒してくれる「しょうが焼きや」でのひと時。
今夜もご馳走様でした。