盛岡食いしん爺日記
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小学5年生の夏の終わり。
同じクラスの女の子が、
「うちに遊びに来ない、Kちゃんも来るよ」
その子を街で見かけた時、
アメリカ映画に出てくるようなオープンカーに乗っていた。
運転するお父さんらしき人はサングラス。
子どもながらに思った。
Kちゃんを呼びたくて、仲良しの自分にもセットで声をかけたのだと。
遊びに行くとその子は案の定、Kちゃんの方を気にしていた。
それでもどんな家に住んでいるか見てみたかった。
庭には小さなプール、大きな檻の中に小さな猿もいた。
家はそれほど大きくはなかったが庭が広かった。
行く前から、ひとり先に帰ろうと決めていた。
庭に出てみた。
すると葡萄棚に房が連なっていた。
食べていいかと聞いて一粒摘まんだ。
酸っぱくて吐き出しかけたが飲み込んだ。
手づくりのケーキを食べ終わって先に帰ると言った。
するとお嬢様は、部屋から飛び出して近くに来た。
ずいぶん近かったので後ずさり。
小声で「転校するの」。
その子が二つも三つも年上に見えた。
朧げな記憶では緊張して無表情のまま、
手を振って帰った。
Historia de un Amor · HAUSER · Carlos Eleta Almarán
昔のことは思い出す度、自分に都合よく変わるらしい。
その日、病院の帰りの空に秋を見た。
葡萄が食べたくなった。
あまり時間はないが、車を紫波町の方へ走らせた。
北上川の東の道路を川に沿うように南下。
20分ほど走って道の駅に入った。
産直もある。
この辺りは果物が有名。
棚に葡萄が並んでいた。
洋梨に似たものがあり、葡萄と一緒に買った。
盛岡へ帰る途中、道沿いにある長岡産直にも寄った。
棚に宅急便のシールが貼られた箱が積んであった。
ここでも葡萄を買った。
あちこちに配ろうと思った。
家に着くとひと仕事。
切りの良いところで葡萄を食べてみようと思った。
シャインマスカットは品のよい薄緑。
先祖はマスカット・オブ・アレキサンドリア。
30年以上も色々な交配や改良を重ねてできたシャインマスカット。
人々の努力の上に出来上がった美味しい葡萄。
とてもいい食感とマスカットの香味。
美味しい~
安芸クイーン
綺麗な色だ。
巨峰を親に持つ。
甘味が強く、噛むと果汁が迸る。
とてもいい香り。
マルゲリット・マリラーと言う名前の洋梨。
熟して食べ頃だった。
何故か洋梨が好きだ。
そして、ひと際粒の大きい藤稔(ふじみのり)
ピンポン玉ほどもある。
藤稔から「ルビーロマン」も誕生したそうだ。
食べ応え十分なうえ、とても甘味が強くジューシー。
喉に甘味が残るほど。
葡萄ってこんなに甘いのか、と思った。
甘いフルーツを好むわけでもなく、酸味のある果実も好きだ。
ただこうも甘くなると、もう葡萄はスイーツ。
さて、もうひと仕事。
ひとしきり食べて手を洗った。
蛇口も水も流しのステンレスもひんやりと感じる。
北国の秋は部屋にまで忍び込んでいる。
えっ、明日の最低気温は13度。
今年の秋は一気にやってきそうだ。
道の駅 紫波 産直センターあかさわ
岩手県紫波郡紫波町遠山字松原7-1
ルート396長岡産直
〒028-3326 岩手県紫波町西長岡字下和野1-1