盛岡食いしん爺日記
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九月、盛岡は秋祭り。
盛岡八幡宮例大祭。
材木町商店街振興組合の事務所で、
打合せしていると、お囃子が聞こえてきた。
朝顔の吊るされた窓越しに見ていた。
Ennio Morricone La Califfa
時々、音頭上げで山車がとまる。
仕事で三年間、出たことがある。
その後、もう携わることは無いだろうと、衣装を処分。
二十年近くが過ぎ、
また三年山車について歩くことになった。
また超特大で揃えた。
今も押し入れの奥ふかく、
ひっそりと衣装や雪駄は太鼓や笛の音を聞いているかも。
せめて時々、陰干しなくては。
今日も三十度超え。
事務所に挨拶に来る人たちに、
涼しい部屋にいるみんなが声をかける。
「暑いので気をつけて!」
秋祭りの日、一日は雨にあたるとよく言われる。
私も出ていた頃、雨によくあたった。
肌寒く、休憩場所で出される温かい飲み物に救われた。
晴れていても陽が陰ると空気がひんやり。
打合せしている人が言った。
「なんだか秋祭りっぽくない暑さですね。」
午後に街のあちこちに出かけ、何度も山車を見かけた。
本町の辺りで寄り道。
和菓子の「梅月堂」へ。
岩手県庁の東側から本町通りに抜ける路。
ここも盛岡らしい雰囲気がある。
盛岡で一番古い喫茶店などもある。
梅月堂の並びには、ほかに二軒も和菓子屋がある。
こじんまりとした店構えの梅月堂。
大正時代に創業し、ゆうに百年を超える老舗。
保存料、添加物を使わないお菓子作りで人気がある。
買物して、いそいそと家に帰った。
飲み物は、ペットボトルの緑茶。
まずは、すあま。
子どもの頃から、何故か好きなお菓子。
ういろうなども好きだ。
食感が好みなのか、
ほのかな甘さがいいのか、
自分でも分からないが、いいんだよなあ~
からめ大福とごま大福。
ごま大福は、こし餡。
ごまの風味もいい。
からめ大福はつぶ餡。
皮は、醬油と砂糖と胡桃を絡めたもの。
私はつぶ餡派なので、嬉しい~
次は、黒糖あん玉。
表面はつるっとしている。
まりも羊羹を思い出した。
あれはだいぶ前、子供の頃だ。
今と違い羊羹は苦手だったが、
丸い表面を爪楊枝で刺すとプチッと裂ける。
あれが面白かった。
黒糖の甘さを感じ、見た感じより甘くない。
自分的には丁度いい。
お茶もち。
これは盛岡の名物。
私は滅多に食べない。
醤油のタレに胡桃の風味。
盛岡のしょうゆ団子もそうだが、シンプルだ。
余計な物がなくすっきりした後味。
岩手でも県南は、餅のような団子だ。
花巻の高校に入学したばかりの頃。
男クラだった。
ある日、「団子買いに行くぞ~」と同級生が言う。
みんなお金を渡した。
昼休みの終わり頃、机の中に団子が一本。
私は、クラスのみんなに「誰だよ~ オレの団子つぶしたのは~」。
するとみんなきょとん。
数秒後、大笑い。
「千葉はさ、県南出身だから、分かんないんだ~」
買ってきた人が、初めからこうなんだと話してくれた。
後は皆でかぶりついた。
家の窓から太鼓の音と掛け声が聞こえてきた。
もう外は薄暗い。
だんだん大きくなって過ぎて行った。
窓を開けると、待ち望んでいた涼風。
山車の後、虫の音が聞こえる。
エアコンをオフにした。
梅月堂 盛岡市本町通一丁目9-40