盛岡食いしん爺日記
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「あの、会ったのは2度ですよね」
「そうよ」
「初めて会ったのは、名古屋でしたよね」
「そうそう、お茶飲んだでしょ」
「たしか、やたら高いビルの上だった様な・・・」
その人は、八幡平を走りに一人名古屋からハーレーでやって来た。
盛岡の街を案内し、宿は繋温泉の四季亭に送った。
翌朝、仕事があり見送りに行けなかった。
「名古屋のデート、忘れたの?」
「なんだか、夢か幻だったかなと思って」
そうそう、盛岡を案内する1年前に名古屋で会った。
朧げな記憶の輪郭がだんだんはっきりとしてきた。
今度、ツーリングに出かけるという。
北海道か東北が候補。
迷っている様だった。
電話で話した翌日、盛岡は晴れ渡った。
2週間近く雨や曇り空だった。
青い空に誘われて散歩。
J. Pachelbel. Canon in D Major Ímpetus Madrid Baroque Ensemble
もうすぐ盛岡八幡宮の秋の例大祭が始まる。
流鏑馬の準備も始まっている。
偶然、知り合いの方と出会った。
「こんにちは、今日は晴れましたね」
「青空は、気持ちいいなあ」と空を見上げて言う。
境内にある「八満食堂 コレコウジツ」でひと休みしよう。
その人を誘った。
中の大きな窓からの光景。
「みんな、お詣りに来てるんですね」
「四季を通じて行事もあるし、人の暮らしに必要な神様がそろってるんです」
「そうなんだ」
としばらく通る人を眺めていた。
氷が運ばれてきた。
自家製レモネードのかき氷。
綿あめの様にふんわりとした白にレモネードが流れた。
「この夏、最後のかき氷かな」
見ている私も涼しくなった。
ゆめ牛乳のカフェオレ。
たっぷりの珈琲にゆめ牛乳。
岩手の県北大野村で低温殺菌の牛乳。
美味しい~
心整う穏やかなひと時になった。
出会った人は、
「せっかくだから、歩いてみます」と境内の奥へ。
見送って仕事に戻ろうと歩き出した。
スマホが震えた。
「北海道に行くことにしました~」
「気をつけて、また連絡します。」
ちょっぴり残念だったが、風を切るハーレー。
その姿を思い出した。
「気をつけて楽しんできてね」とメールした。
秋祭りが終わったら、東京への修学旅行を計画しよう。
一緒に青春時代を過ごした人たちに会いに行こう。