盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください>
朝晩、待ち望んでいた少し肌にひんやりの風。
心が軽くなり、何か始めたくなる。
虫の音も大きくなってきた。
冬が終わりかけ、柔らかい春の陽射し。
真夏の肌を刺す陽射しが優しくなり、秋桜。
盛岡の春と秋の始まりが好きだ。
Moonlight Serenade · Beegie Adair
先日のランチは「直利庵」。
もう長いこと暮らしてきた盛岡。
老舗そば屋の周りも様変わり。
今では高層マンションが背景。
東側にも建設中。
高い建物に囲まれたって威風堂々。
前にも記事にした20代の話。
少しはサラリーマンも慣れてきた頃。
先輩が私と同僚に言った。
「土曜だが、午後の予定はある?」
2人とも特になかった。
「手伝ってくれないか?」
昔は土曜は半ドン。
今や半ドンも死語。
午後から休みだった。
週休2日になった時は嬉しかったが、残業も多かった。
昼ご飯はおごりだと直利庵に行った。
好きなだけ食べなさいと言われ、私はざるそば3枚。
同じく食べ盛りの仲間は、カツ丼とざるそばだったと思う。
先輩のO氏は、ざるそばを注文して腕組み。
「あの~」と店の人を呼び、ビール2本と言った。
私達は顔を見合わせた。
とりあえず3人で乾杯。
あっという間に喉の奥に消えた。
するとビールの追加。
気がつけば、テーブルに並ぶ瓶の列。
しばらくしてO氏が言った。
「今日は呑みに行こう!」
行きつけの店で、真昼から長い呑み会。
ご馳走になり後日、しっかり手伝った。
あの頃は、そんな感じだった。
その日は、まだ食べたことがなかった「すじこそば」。
温と冷があるが冷たいそばにした。
2階で宴会したり、わんこそばを食べたこともあった。
近頃は自分へのご褒美に豪華なそばを食べに来たり。
とにかく思い出が多い。
先日、女将さんと話した時、
すじこそばのことを聞いてみた。
北海道から届く木箱に入ったすじこを使うという。
気になったら早い方がいい。
牡蠣そば、たちこ(白子)そばや口に入れると頭からサクサクと崩れる鮎そば。
どれもくさみがなく、食材のいいところを引き出す。
上質のすじこは海苔を従え、そばにのって登場。
粒がたち、一つひとつが宝石の様だ。
品のよいそばに纏わりつく黒と紅。
離れてしまった粒はレンゲですくいひと粒も残さない。
あ~ 美味しかった~
そば湯を飲みつつ辺りを見回す。
2時半過ぎと言うのに満席だ。
さて、席を空けようと立ち上がった。
女将さんの立つ厨房にも「美味しかったです!」と言った。
笑顔に手を振り軽く頭を下げ、後にした。
長い間通っていても未体験のメニューはまだありそうだ。
直利庵
〒020-0871 岩手県盛岡市中ノ橋通1丁目12−13