盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
夏、学生時代の友からの封書。
前回は邦画の話。
業界紙の記者だった彼の文章は、
軽快で読みやすい。
長年の取材の事が書かれていた。
彼の心がけ、「聞き上手でなければならない」。
ほかに自慢しない、悪口を言わない、相手との距離感を大切に。
よく分かる。
<盛岡の夏空>
You Are Everything · Ken Navarro
私も同感だ。
そして、取材先の人の話の中に、
見えてくる本音の欠片。
聞き手の好奇心も膨らむ。
取材で、半分以上聞き手が話しているのを見ると、
その場の雰囲気が重くなってしまう。
ただ、その章の終わりに彼は、
「でも今思うと果たしてどれぐらい、これらのことを実行してきただろう。」
ある時は東南アジアへの出張話。
今回は、アメリカ編。
ニューオーリンズ、ニューヨークなど軽快に綴られていて楽しい。
4枚目に学生時代の事が少し。
夜寝つけない時に思い出すことがあるらしい。
カネはなくても時間だけはあった。
喫茶店に入る。つまらなそうに煙草に火をつける。
運ばれてきた珈琲をまずそうな顔をして飲む。
ボタンダウンにローファー。
それでも「セイシュン」をやっていた。
勉強もせずただ遊んでいた。
結局損をしたのは親父とおふくろだったな。
彼とはかなりの時間を共有した。
手紙を読むと、あれこれ返事を書きたくなる。
でも、一呼吸おいて、しばらくしてからにしよう。
北国の街、盛岡も初夏から夏へ。
中ノ橋通りから少し奥へ。
今も現役の盛岡信用金庫の建物の裏から、
老舗そば屋「東家」に抜ける路。
愛染横丁と呼ばれている。
旧葺出町とこの辺りが、私の好きな街だ。
また今日も歩く。
盛岡信用金庫の裏で咲く、魅惑の紫の紫陽花。
走ったら十秒ほどで突き抜けてしまうだろう。
そこに、イタリアンの名店「フィロ」、素敵なCafeの「ワルツ」もある。
いつも思い出す。
ここで、雑誌の表紙の撮影。
コロナ騒動が始まり、それなら街を歩こうと企画した本だ。
「盛岡食いしん爺のまちを歩けば」と銘打ったが、
思えば、そのままの本の名前。
今日は、盛岡信用金庫裏の北田屋さんへ。
昔から通う店で、観光客の知らない地元の名店。
地元の人は、盛岡冷麺を四季を通じて食べる。
私にとって盛岡の夏と言えば、「冷風麺」。
仕切りには、高山植物の写真。
夫婦は山登りが趣味。
だが近頃は、ご無沙汰気味でウォーキングをしている。
それが半端な距離じゃない。
7、8キロは平気らしい。
時間は、11時半。
まだランチで混みあう前。
コロナ禍の時と違ってサラリーマンやお年寄りが食べに来る。
お~来た来た!冷風麺。
クラゲ、錦糸玉子、ハム、キュウリにたっぷりの海苔。
真っ赤な生姜がアクセント。
からしをとかして、さあ食べるぞ!
ちょこっと酸味のあるスープ。
細麺につゆが絡む。
各店で個性があるが、
蕎麦屋さんの冷風麺はあっさり系で爽やかな感じ。
暑い日に、するすると喉を過ぎる。
若い頃の方が夏バテ気味だった。
一日おきに食べた冷風麺か中華ざる。
完食してそば湯を飲む。
お客さんが来始めている。
女将さんが「この前もKさん来ましたよ」
「そうですか、よろしくと伝えてください」
「いつも冷たぬきの大なんですよ」
話していたら食べたくなった「冷たぬき」。
我慢、我慢。
これから一息入れてバドミントンしに体育館へ。
今日の花は紫陽花だった。
北田屋
〒020-0871 盛岡市中ノ橋通一丁目3-25