盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
朝起きて、ミルクたっぷりの珈琲。
昔から朝が弱い。
鉛色の空の下にいる気分。
2杯目あたりから、頭が回りだす。
手帳は、一日空白。
今年の目標は、月に数日はオフの日を設ける。
フリーランスになってから、休みと仕事の区別が曖昧。
ふと、ある店のランチを食べたくなった。
盛岡から南へ。
車の窓ガラス越しに真夏の様な陽射し。
エアコンを入れず、右の窓と対角線に後ろの左側を開けた。
風が斜めに抜ける。
目指したのは紫波町の「甘味処 高福」。
Xuefei Yang - Manhã de Carnaval by Luiz Bonfá
甘味処と言ってもランチもある。
「高福」という店は100年以上続く餅店。
勿論大福なども売っているが、素敵なカフェスペースもある。
「こんにちは」
「あら、お久し振りです」
まず、店主の微笑みに癒される。
今は一人で切り盛りしており時間がかるという。
庭を望む席に座った。
何という花だろう?
だんだん神経が弛緩していく。
いい気分だ。
しばらくしてバックに入れたままのスマホが長く震える。
急ぎの電話だったが、すぐすんだ。
また席に戻った。
前菜が置かれた。
キャベツのサラダ、サツマ芋のサラダ、蕗の炒め煮。
キャベツのサラダはお洒落な容器に入っていた。
蕗の炒め煮は出来たての温かさ。
心和む。
子どもの頃、煮物が好きじゃなかった。
旧盆に訪れる父の実家の祖母が作る煮物は好きだった。
シイタケの風味が全体を包み美味しいと思った。
さつま芋のサラダも美味しい。
紅紫の皮も綺麗だ。
箸置きは椿の実。
ちょっとしたところも洒落ている。
地元の農家さんに頼んで作っている米。
ご飯がとても美味しい。
そして味噌汁。
前菜とご飯とみそ汁だけで箸が自然に動き回る。
メインは2種類。
「豚肉の味噌漬け焼き」を選んだ。
豚の味噌漬けは大好きだ。
やわらかい。
塩麴かなあ~
豚の味噌漬けを高校生の頃、
東京にいた叔父が送ってきたことがあった。
台所から焦げた味噌の匂いがたまらなかった。
あの時が初めてだった。
ゆっくり食べていると色々な思い出が浮かんでくる。
添えられた野菜が爽やか~
いい具合の酸味。
梅干しを使っているようだ。
味噌汁とご飯をお代わりした。
テーブルやカウンターのお客さんもランチしながら賑やかだ。
当たり前だった光景はとても大切なものだ。
甘味処「高福」の名物だと思っている「和パフェ」。
ミニにした。
貝殻から作られたスプーン。
光を受けて輝きをます。
下に黒蜜のかかったゼリー。
次にバニラアイスと抹茶アイス。
甘さのほどよい餡子と餅。
その上にきなこがまぶされ、栗がのる。
さらに黒蜜を。
ほかに抹茶パフェもある。
仕上げは珈琲。
やっくり飲んでいると大福を買いに来たお爺さん。
嬉しそうに包を持って帰って行った。
時の流れるまま、ゆっくりした。
電話1件、メール3件が来たが、いつもより丁寧に返事をした気がする。
ゆっくり立ち上がって会計。
「お待たせしてすいませんでした。また、いらしてください。」
「かえってゆっくりしました。」
高福の優しい味に癒された。
庭先に咲いていた木蓮の花。
少しドライブして帰ろう。
今咲く花を探しにでも走ってみよう。
甘味処高福餅店
〒028-3303 岩手県紫波郡紫波町高水寺土手52−1
