盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
盛岡の官庁街の並木。
若葉は、日毎に勢いを増す。
樹々のエネルギーに圧倒される。
ビルは緑に隠れ、空は狭くなる。
The September Wind (You're Romantic) · Naoya Matsuoka · Wesing
今年はゆっくり桜や新緑のやわらかい緑も見ていない。
春が遅い西和賀はどうだろう。
ゴールデンウィークに遠出の予定はない。
せめて半日のドライブ。
暇だと言っていた人にメール。
「いいね、西和賀、利久庵は始まってるかな?」
ずっと家に居てうずうずしている様だ。
盛岡から雫石を経て西和賀へ車を走らせた。
山伏峠を抜けると、時が2、3週間逆戻り。
芽生えたばかりの黄緑。
山伏峠から数分の距離にある「利久庵」に着いた。
山が蒼くなりだし、森が色づき始める。
この春の始まりの頃がいい。
一緒のSさんは、隣の産直に行った。
シドケを買ってきた。
「天然だよ」と見せてくれた。
西和賀の春はゆっくり。
冬は休み、春から始まる「利久庵」。
平日は、盛岡の大通りにある懐石料理の「田」。
知る人ぞ知る和食の名店が、西和賀で開くそばや。
この辺りの食材を使い価格もリーズナブル。
春から秋の味覚を楽しませてくれる。
スタッフに聞くと、
「今年は、4月22日からやってます。」
Sさんは、とろろの冷たいそば、たらぼ天と竹の子ごはん。
とろろとメカブに鰹節。
白と緑と薄茶。
そのビジュアルに見惚れてしまう。
「お先に~」と食べ始めた。
何度も美味しいを連発。
「竹の子の煮方がいいのかな・・・」
だんだん無口になっていく。
玉こんにゃくを食べながら、
「見た時から美味しいと思うよね」と言った。
私も頷いた。
たらぼ(タラの芽)天を分けてもらった。
薄衣に閉じ込められたタラの芽。
春の新芽をいただく。
「小海老のかき揚げサラダそば」
たっぷりの野菜とプリプリの海老がそばを覆う。
つゆは、みんなを纏める大切な役割。
どんな工夫が隠れているのか、いつか聞いてみたい。
つゆは、品のいいそばの風味を活かしている。
美味しい。
日本料理は季節を色濃く映し綺麗なものだ。
ミニ角煮ドンも。
じっくりと煮込まれ、噛むほどに滲み出る肉の旨味。
満足してそば湯を飲んでいると、
「この頃、色々な料理を食べていると無口になるんですよ。」
と言う。
確かに、
これはどう調理しているんだろう。
どこから仕入れているのか、と素材を知りたくなる。
作り手の人柄も知りたくなる。
今日も食べている間、二人の会話は少ない。
特にグルメじゃないのに、
噛むほどに色んなことを思う。
店の方々に挨拶して外へ。
駆け足で過ぎ去りそうな盛岡の春。
さあ、西和賀のゆっくりの春を感じに行きましょう~
利久庵
〒029-5703 岩手県和賀郡西和賀町沢内貝沢3地割648−127