盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意>
Miss You Like Crazy · Natalie Cole
盛岡の街の北と南に寺院群がある。
今日は南の方、大慈寺町の辺りを少し歩いた。
寺社が連なり落ち着いた雰囲気。
祇陀寺(ぎだじ)の門の辺りに八重桜。
数人が引き込まれてスマホをかざす昼下がり。
私もカメラを構えた。
曇り空でも艶やかだ。
一緒に歩く人も写メを撮る。
今日は引越しを手伝ってくれる方とランチ。
御礼に「かわ広」でランチ。
条件は鰻以外。
あれやこれやで持ち合わせが少ない。
和風料理「かわ広」。
暖簾を潜る。
カウンターが空いていた。
端に並んで座った。
店の方がお茶を置きながら、
「今日はランチなんですね」と微笑む。
「はい」
「決まりましたらお声がけくださいね」
どうってことないやりとりに、ほっこり。
隣は、真剣にメニューを見ている。
入口のドアが開いては閉まる。
次々に2階へ上がっていく。
予約しているのだろう。
迷っているうちに小上がりの方も満席になり、
カウンターも空きは一席だけになった。
「決めたぞ、やきとり丼だ!」
私は、前から気になっていた「天むす定食」を頼んだ。
手伝いの段取りを話していたが、厨房の方が気になる。
次々鰻が焼かれている。
焼き上がると厨房から箱型の小さなエレベーターで2階へ上げる。
引っ越しの助っ人の隣の女性は鰻丼。
小上がりからも鰻のかば焼きの匂い。
隣に「やきとり丼」が来た。
美味しそうだ。
鶏の照り焼き、玉子焼きとネギも。
もう5,6年前になるだろうか、
ここから歩いて10分ほどの所にある料亭「喜の字」。
仕事で若手の芸妓さんたちを撮影し小冊子を作った。
お礼と打上げを兼ねて、喜の字でランチ。
ベテランの姐さんに言われていた。
「千葉さん、安くて美味しい『やきとり弁当』というのがあるのよ」
それを若手の4人に食べさせて欲しいと。
その時、初めて食べたやきとり弁当は、
焼いた鶏の薄切りがご飯の上に敷き詰めてあった。
かわ広のやきとり丼は、似た雰囲気ながら鶏が厚い。
これも絶対に美味しいだろう。
案の定、助っ人は背を丸め頷きながら夢中。
「美味しい~ 鶏がたくさん入ってる」
私の天むす定食もきた。
助っ人が首を伸ばして覗き込む。
「お~ ひょっとして茶碗蒸し? え~蕎麦まで~」
揚げたての海老の天ぷらはプリプリ。
包むご飯が、これまた美味しい。
海苔が指で掴みやすい様に巻かれていた。
茶碗蒸しもたっぷり。
出汁のきいたふわとろが喉を過ぎる。
美味しい~
揚げ玉が少しとてけて、つゆがまろやかになり、おにぎりとよく合う。
天むす、茶碗蒸し、たぬき蕎麦と箸休めの漬物とパイナップル。
2人ともそれぞれ満足のランチになった。
店を出ると入れ替われにお客さんが入っていく。
以前は当たり前だったが、賑わう光景はいいものだ。
さて、引越しの準備に気合が入る。
事務所に向かい歩いていると、
「美味しかったなあ~ 珈琲でも飲んでひと息つきません?」
とこちらを伺うので、
「さあ、雨の降り前に頑張ろう!」
と急ぎ足。
言葉は胸に秘めたが、
片付いて落ち着いたら鰻をご馳走しよう。
かわ広
〒020-0874 岩手県盛岡市南大通2丁目2−16