盛岡食いしん爺日記
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抜歯の翌日、歯医者へ。
異常なし。
しばらく様子を見ることになった。
治療はすぐに終わり、奥歯の無い感触にも慣れてきた。
早めのランチは、そばにしよう。
目いっぱい食べたい。
紺屋町の通りから、ちょっと愛染横丁と呼ばれる路地に入る。
「北田屋」の暖簾を潜った。
Dionne Warwick - That's What Friends Are For
座るなり「ざる2枚!」と言った。
北田屋では、2枚で900円。
もりそばだと2枚750円、3枚もあり1,050円。
ただし、一緒に頼まなければならない。
食べてから追加ではお得にならない。
ほどなくテーブルに置かれたざる2枚。
隣のテーブルの人はもり2枚。
そばの香り。
しっとりとしたそばで喉ごしよく優しい味。
始めは薬味を入れず、一気に。
せいろを入れ替える。
つゆを蕎麦猪口に足し、権八とネギを入れる。
「権八(ごんぱち)」とは、もみじおろしのこと。
歌舞伎の「鈴ヶ森」の中で、あの番隨院長兵衛が、
「お若(わけ)えの、お待ちなせえやし。」
すると、白井権八、
「待てとお止めなされしは、拙者のことでごさるか~」
そして、見せ場。
権八が、もろ肌を見せると見事な紅葉が彫られていた。
そこで、「権八と紅葉」が結びついたものの、それ以上はよく分からないまま。
旧南部藩では紅葉おろしが多い。
もみじおろしの辛みが食欲を刺激し続ける。
美味しい。
2枚目も食べる速度はおちない。
どうして飽きないんだろう~
そばも、つゆも優しい味。
蕎麦猪口に残ったつゆを飲んでしまう。
隣の人は食べ終えて席を立った。
私も大満足。
そば湯を飲みながら見つけたねこやなぎ。
壁に小っちゃい春。
北田屋の奥さんは、連日の様に花を飾る。
山野草の写真も沢山貼ってある。
花を愛し、ウオーキングを楽しむご夫婦。
正午を過ぎるとサラリーマンが続々。
年配の夫婦もテーブルに座る。
会計しながら奥さんに聞いた。
「値上げ、しなくていいんですか?」
「皆さんに言われます」と笑う。
愛染横丁と呼ばれる路地。
正面に老舗そば屋「東家」。
イタリアンや素敵なカフェもある。
空は晴れて風も少し和らいでいる。
紺屋町を少し散歩してみよう。
すぐ見えてきたのは南部鉄器の工房「釜定」。
南部鉄瓶のほか小物も作っている。
店の前に置かれた道具類。
工房で使っていた物だろう。
向かい側に江戸時代から続く呉蓙九(ござく)。
そこに「アッカトーネ539」が入った。
ワインショップで角打ちもできる。
こういう建物の活かし方は街が残ってきた理由の一つだと思う。
南部しぼりの「草紫堂」。
まだ入ったことがないが興味津々の染物屋。
そして南部せんべいを選ぶのが楽しい「老舗白沢せんべい店」。
与の字橋の袂、紺屋町の番屋はリノベーションされ、カフェなどが入っている。
ここは雑貨屋だったかな。
老舗と素敵な店が同居して街を創る。
「盛岡らしさ」だと思う。
この通りには小料理屋などもあり、まち中華の「龍華」もある。
さらに歩くと使われていない「菊の司」の建物。
今は雫石町に移転し酒造りをしている。
どうせなら、酒の博物館にでもなったら楽しい。
向かいは酒屋の平興。
角打ちができる貴重な店で、いつも賑わっている。
その先にはコーヒー焙煎のクラムボン。
今日は休みだがカフェもある。
隣に「巴染工」。
紺屋町と言われる町だけあってまだ染物屋がある。
昔、裏の中津川で長い布を洗っている光景を見た記憶がある。
その先には盛岡冷麺と焼き肉の「肉の米内」も。
ここまで、ゆっくり歩いて15分。
急げは5分ほど。
中津川の東の紺屋町、肴町、八幡界隈と古い街並みが続く。
盛岡は歩いて楽しい街。
さて、満腹もこなれてきた。
戻って仕事をしよう。
また、疲れたら路地を歩いて珈琲でも飲みに行こう。
北田屋
〒020-0871 盛岡市中ノ橋通一丁目3-25