Bryan Adams - Christmas Time (Classic Version)
<音楽が流れます、音量に注意>
北国の街、盛岡に雪が降る。
普段は気にも止めていない、電線が白く夜空に浮かび上がる。
街は静かで、時間が止まったようだ。
空から舞い降りた雪は、街から物音を吸い込んでしまう。
彩度の落ちた路地へ。
「里伊」の灯りが見えた。
引戸を開ける。
外からは思いもよらない賑やかな声。
三陸沿岸を結ぶ三陸鉄道。
模型が走るのを見せられたことがある。
その時、釜石出身のマスターの眼は一層輝きを増した。
居酒屋を「居酒家」と書いて「里伊」と続ける。
自分の家の様に寛いで欲しいという思い。
「お~久し振り、嬉しいなあ~」とマスター。
「ご無沙汰してました」
「あれ、千葉さん痩せたんじゃない?」
「まあ、色々と、今日はご飯に来ました。」
「いっぱい食べてって。」
マスターの笑顔につられて微笑んでしまう。
お通しが来た。
「べにはるかの胡麻豆腐です。」
といい笑顔でスタッフが置いていく。
食事にしても吞みにしても、始まりは大切。
さて、箸を持つ。
う~ん美味しい~
懐かしく思うほど久し振りだ。
里伊のだし巻き玉子。
ふわふわ、とろとろ~
さっぱりとしていくらでも食べられる。
里伊の料理は味つけが優しい。
チューリップがきた。
以前はここで何度も宴会をしたもの。
大人数だったり、数人だったり。
特に女性は、このチューリップの唐揚げが好きで追加で注文した。
その時の嬉しそうな顔が幾つも浮かんできた。
今年、母親になった人、
役職が重くなった人、
そして今年の春、結婚した人。
思い出に包まれているうち、気がつけば5本食べていた。
近頃はまっているドンコのきも和え。
バクバクと食べてしまう。
えびしんじょう。
これが美味しい。
とろりとした餡が綺麗な野菜とえびしんじょうを優しく包み込む。
頼んだ時、マスターが言った。
「2個にしますか?」
「いいえ、3個にしてください」ときっぱり。
「うん、美味い」と独り言。
〆は釜石醤油の焼きおにぎり。
初めてわさびをつけて食べた。
表面の甘じょっばさをわさびが引き締める。
なんだか遠く離れた故郷に帰ってきた気がした。
そんな風に思わせてくれる里伊の人達。
来てよかったと思う帰り道は、心身ともに温まっていた。
盛岡市南大通1-10-17
居酒家 里伊