Francoise Hardy Ma Jeunesse Fout le Camp
<音楽が流れます、音量に注意>
3年ぶりでこの道を走る。
あの時、誘ってくれた人からのメールを思い出す。
「細い道をどんどん奥に入って行き、
道の先が不安になる頃になって農場が現れ、
左奥に古民家があります。」
まだ5時半なのに真っ暗闇。
二度目なので、先にある灯りを知ってはいるが、ちょっと心細い。
古民家の灯りにほっとする。
賑やかな声が漏れてくる。
数人が外にいて月を見ていた。
そこに農場主の石黒さんもいた。
「今度も遅くなりました。」と言うと、
「お~いらっしゃい!」
笑って迎えてくれた。
外でバーベキューもしたのだろう。
かまどに火が残り、番をしている人も。
野菜を持って来た「うるおい春夏秋冬」の高橋さんが、
すれ違いで帰るところだった。
少し話が出来てよかった。
今日は、あの白レバーはないと聞いた。
前にテレビで放送していた木村拓哉のグランメゾン東京。
そこに出てきた白レバーは、口の中で溶けていった。
今、ホロホロ鳥の事で色々とあるらしい。
薪で暖をとりながら、思いつくままの雑談。
石黒農場のHPで知った事。
ほろほろ鳥は熱帯で生きる。
広大な敷地に温泉を利用した床暖房を敷き、熱帯の環境を再現。
試行錯誤のうえ飼育に成功し、鳥の餌となる米も作る。
世話をするスタッフはできる限り会話をせず、動作もゆっくり。
作業衣まで鳥と同系色に。
それほどに神経質な鳥。
東日本大震災の揺れの後、しばらく卵を産まなかったそうだ。
今まで、並々ならぬ努力があったのだろう。
囲炉裏を囲む人たちが、
「あ~食に関わってる人、ブロガー、雑誌の人」
などと3年前のこと覚えていてくれ、
「焼けたら、持っていきますね」と嬉しい言葉。
テーブルには見たことのない料理が並んでいた。
「さあ、食べて食べて」と箸や小皿を渡される。
大皿に盛られた料理。
「なんだろう?」
よく見るとアワビだった。
やわらかくて美味しい。
湯通しした豚肉をちょい辛のソースで食べる。
添えたキムチも美味しい。
料理が次々とテーブルにのる。
久し振りのほろほろ鳥。
今や高級食材だ。
蓮の葉で包まれた、ちまきの様な料理。
開くと零れそうに小豆がのる。
ツアーの仕掛け人は「カフカの猫」の名須川ミサコさん。
作り手てを訪ね一緒に楽しむ旅。
今回は石黒農場で、崔誠恩先生のキムジャン(キムチ作り)ツアー。
先生は、最後の韓国宮廷料理人だったおばあさまの作る料理で育ち、ソウル大学では発酵を専攻。
発表した論文は世界的にも評価されている韓国&日本を代表する発酵のスペシャリストと説明されていた。
東京からの参加者はキムチも作ったり、広い農場の中で、なめこや栗拾いも。
私は、地元組として宴にだけ参加。
ホロホロ鳥や岩手の地酒も。
花巻の「わかば酒店」の佐々木さんが、喜久盛酒造の藤村さんと一緒に来ていた。
2人の説明を聞きながら日本酒やワインを呑む。
今日は話を聞いて見つめるだけ。
「焼けましたよ!」と囲炉裏から代わる代わる持って来てくれる。
プリプリでミルキーな牡蠣。
ほっこりして美味しい。
ホロホロ鳥の焼き鳥は、言うまでもなく絶品。
炭火でじっくり焼かれた秋刀魚。
今年は不漁で貴重品。
脂ものって美味しい。
熱々の焼きおにぎり。
味噌が独特で甘辛い。
シャインマスカットも。
終盤になると、なんとつきたての餅!
のびる、のびる~
餡子を包んで食べる。
まだ温かく、美味しい。
もう一個、作ってもらった。
楽しい宴は、あっという間に過ぎる。
作り、育てる人や料理をする人に食べる人。
一緒に「食」を語り、楽しむ。
料理は、さらに味わい深いものになる。
心残りは、食べるのに夢中で、
料理人の方の話を聞けなかったこと。
そんな事を思いながらの帰り道。
ほろほろ鳥の専門農場 石黒農場
〒025-0305 岩手県花巻市台1の363
うるおい春夏秋冬
〒024-0051 岩手県北上市相去町相去64
地の酒 わかば酒店
岩手県花巻市 若葉町1丁目1-16
喜久盛酒造
〒024-0103; 岩手県北上市更木3-54