The Goodbye Look · Donald Fagen
<音楽が流れます、音量に注意>
もう2年、いやもっと前だろうか。
はすの屋の女将さんとばったり出会った。
場所は上の橋の真ん中辺り。
犬と散歩中だった。
はすの屋は、私の好きな「支那麺」という中華そばが食べられる店。
店以外で会ったのは初めてだった。
立ち話の間、ちゃんとお座り。
大人二人の顔を見上げている。
無垢で純粋な眼差し。
飼い主を信じきっている様だ。
女将さんに断ってカメラを向けた。
ファインダー越しに見る。
時々、カメラ目線もくれるが撮り逃した。
まだまだ未熟なカメラマン。
その時に撮った写真を思い出した。
女将さんに渡すと想像以上に喜んでくれた。
支那麺とサービスのチャーシュー入りのご飯。
勿論、誰でも食べられる。
あっさりとしたスープ。
これが深いコクがある。
今は一人で切り盛りしているが、
旦那さんが元気だった時、
夫婦二人で試行錯誤で作り上げたスープ。
チャーシューの肉も吟味している。
ある時、
「肉屋さんに嫌われているかもね」と笑って話していた。
箸でなんなく千切れ、口の中で消えてしまう。
喉に残る仄かな甘味。
勿論、麺も美味しい。
胡椒も三種を混ぜているというこだわりの支那麺。
午後もスープがある限り、三時半とか四時まで開いている。
濃紺の大きな暖簾が営業中の目印。
殆ど取材を受けない店。
特別に取材した時、
自分の写真は絶対嫌だと拒んだ。
一緒のカメラマンさんが「記念にとっておきましょうよ」
と言うと、「載らないのなら」としぶしぶ承諾。
雑誌が出来て、女将さんの写真と一緒に届けに行った。
手にとって微笑みを返してくれた。。
流石、岩手では著名なカメラマンだけあると思った。
とても素敵な笑顔だった。
その後にまた行った時、
東京の娘さんにも本を送ったと聞いた。
雑誌の記事も親子で喜んでくれた。
支那麺も同じだが、
作った物が喜ばれるのは、最高に嬉しい。
だから、みんな続けているのだ、と思った。
めん処 はすの屋
〒020-0885 岩手県盛岡市紺屋町2−20