Dream · The Pied Pipers
<音楽が流れます、音量に注意>
今年も咲いたと知り、やって来た奥中山高原。
今年はどうかと、
気になっていた向日葵。
昨年より背丈も低く、花も小さい。
それでも元気に咲いていた。
だいぶ陽は傾いて冷たい空気が頬を撫でる。
手も冷たくなってくる。
それでも見ていた。
「向日葵の物語」
あれは2年前、秋に向日葵が咲くと聞いてやって来た。
時間も忘れ斜面の前しばらく立っていた。
そろそろ帰ろうとした時、
通りかった人が「こんにちは、どちらから?」
その女性は近所に実家があり、よく見に来るという。
向日葵のことを話してくれた。
青年海外協力隊でパラグアイに行った男性。
現地で奥さんと知り合い、実家の奥中山に戻って来た。
酪農を引き継ぎながら、
家から見える丘一面に、
子供たちに見せようと植えた向日葵。
数年前、彼は突然の事故で逝ってしまった。
広い丘の斜面に、
奥さんと子供達だけで育てるのは難しい。
彼の想いを親戚や近所の人達が引き継いだ。
聞きながら冷たい風の中、心は温まっていた。
帰ろうとして空に虹を見た。
見に来る人を空から歓迎している様だった。
(2年前の写真)
あれから3度目の向日葵。
今年も見ることができた。
昨年は私の背丈ほどあったが、
今年は腰高ぐらいで花の大きさも半分ほど。
それでも見惚れてしまう。
花の大小はどうでもよかった。
地面に倒れても太陽を向き、綺麗に咲いていた。
陽が西の山並みに沈みかけてきた。
車に乗った。
日没まで高原をドライブ。
俄かに雲の形が変わりだした。
空はいろんな顔を見せて紅く染まった。
夕焼けは、ほんの一瞬だった。
奥中山高原温泉に行った。
朝朱の湯(あさあけのゆ)と煌星の湯(きらぼしのゆ)の二つがある。
今日は煌星の湯へ。
温まって出てくると暗くなっていた。
車の温度計は7度。
今夜はどこまで冷えるのだろう。
盛岡に帰り、むら八で待合せ。
一緒の人は、
季節限定の安比まいたけ巻きカツと原木椎茸のメンチカツ定食。
メニューに詳しく書かれていた。
立花さんの原木椎茸は、原木にこだわり時間と手間をかけて育てている。
それだけに肉厚な食感が楽しめる。
羽沢さんの舞茸は自然農法栽培で天然に近い香りと歯ごたえ。
「これ美味しい!」
老舗の「むら八」は進化を続けている。
私は生姜焼き定食。
柔らかく脂も甘い。
知り合いの食べ歩き好きの人が「はまる」と言っているのがよく分かる。
生姜がきいて肉の臭みはない。
甘過ぎず、しょっぱすぎないタレ。
キャベツはドレッシングを使わずタレを染込ませて食べた。
これも季節限定の活ホタテ。
焼いてもらった。
肉厚でいい歯応え、ひもは刺身で。
これにも満足。
茶碗蒸しも。
お代わり自由のご飯、味噌汁、キャベツ。
全てにいきとどいたむら八。
料理人の誇りと自然なおもてなしのスタッフ。
いつもトンカツにしようか洋食系でいこうか、
それとも季節限定にしようかと、いつも腕組みしてメニューを睨む。
満足して打合せ。
話題はあるイベントのこと。
出来るだけ手伝うことになった。
今でも咲く向日葵の話をしたら、
「明日にでも行く」と言い、「その後、またむら八に来ようかな」と続けた。
笑って解散した夜。
とんかつ むら八 上田店
〒020-0066 岩手県盛岡市上田4丁目21−31