Bill Evans Trio - Someday My Prince Will Come
<音楽が流れます、音量に注意.>
キーボードの打ち間違い、
ディスプレイがダブって見えだしてきた。
4時間ほど続けてパソコンに向かっている。
デスクの端でスマホが震えた。
要件が終わり疲れ気味と話したら、
「カフェにでも行ってひと休みしたらいい」と言う。
戸締りして、散歩がてら外に出た。
朝からの雨はやんでいた。
八幡町、松尾町、南大通りと歩く。
一歩、裏の道を歩くと料亭などもあり落ち着いた佇まい。
花街だったころの雰囲気が残る建物。
少し行くと開業から百年を超える盛岡劇場。
宮沢賢治も観劇の後、
近くにあった洋食店にもよく寄ったらしい。
今の建物も当時の雰囲気を残している。
劇場の前に、今は盛岡八幡宮に移ったが、
芸事の神様を祀っていた。
その向かいにある「いなだ珈琲舎」。
冬が来れば開店して8年。2014年12月、自家焙煎「いなだ珈琲舎」を開店。
いつも来ている気分で入ったが、
よく考えたら久し振りだった。
カウンターの隅に座る。
たいてい同じ席。
Kブレンドとマンデリン100グラムを挽いてもらう。
ビニールで仕切られているが、
珈琲の香りが漂ってくる。
吸い込みたくなる匂いだ。
マスターの仕事を見ているのもいい。
雑味のない珈琲は、
無駄がなくテンポのいい動きから生まれる。
彼は、一つひとつの豆を厳選し、手を抜かない。
そうして生まれた一杯の珈琲は訪れる人を魅了する。
久し振りにメニューを見ると「ヒロインのブリュレ」とある。
早速、クッキーと一緒にブリュレをオーダー。
いなだ珈琲舎には
チーズケーキや暑さが過ぎれば生チョコなど、
珈琲とよく合うスイーツがある。
これは初めてだ。
味を想像して待っていると疲れも忘れてしまう。
なるほど滑らかなプリンの様な生地に、
焦がしたキャラメル。
甘さ加減がいい具合。
美味しい。
隣の菓子工房で作るクッキーもいい。
飽きのこない珈琲とご機嫌なスイーツ。
互いの近況などの話も弾む。
入った時は誰もいなかったが、
次々に来るお客さん。
本を読む人、
片手にスマホの人、
マスターと話し込む人。
それぞれ好きに寛いでいる。
いなだ珈琲舎は、まだまだ進化を続けている。
来てよかったと思いながら、
ゆっくり帰った。
自家焙煎「いなだ珈琲舎」
岩手県盛岡市南大通1丁目12-17 メゾン サウスアベニュー101