盛岡食いしん爺日記
<音楽が流れます、音量に注意してください。>
いつの頃から言われ出したのだろう「町中華」。
私が耳にしたのはここ7、8年。
ボリュームがあり、安くて美味しく、おまけに早い。
漫画を読んだり、新聞を開いたりしながら寛ぐサラリーマン。
盛岡のバスセンターが新しくなり、
もう街に溶け込んでいる。
古い建物は、昭和が漂っていた。
その近くのビルで、もう半世紀になる「えぞっこ」。
最近、地下に下りる階段が明るくなった。
えぞっこのあるビルは、昭和43年に竣工。
盛岡で初めて飲食店が中に並んで入った。
初代の「えぞっこ」を昭和48年、今の大将が引き継いだ。
昭和の頃の肴町界隈は、県内で一番の繁華街。
向かいには川徳デパートもあった。
近郊からもバスで続々人が集まってきた。
当時のことを大将から聞いたことがある。
「バスセンターの2階の喫茶店で見合いした人もいたらしいよ」
Rod Stewart - I Can't Get Started
<音楽が流れます、音量に注意>
私が通い出した頃、
まだ紅かったカウンターや椅子。
多くの人が入れ替わり食べた証。
壁にずらりとメニューが並ぶ。
私は、たいていモヤシラーメン、焼きそば、
レバーモヤシ炒め定食、たまに味噌ラーメン。
中華鍋が小気味いいテンポでカタコトと鳴る。
静かになると「お待ちどうさま」。
ボリューム満点の焼きそば。
やわらかめで飽きない味、モヤシはシャキシャキ。
ガッツリ食べに来る日はレバーモヤシ定食。
くさみのないレバーがたっぷり。
栄養満点、明日への活力!
このごろ、ご飯は少なめに。
サラリーマン時代はネクタイを肩にかけ、
盛り上がったご飯を軽くたいらげたものだ。
先月の夕方、ある会合があり、
盛岡八幡町の裏通りに入った。
しばらくご無沙汰の料亭「喜の字」。
八幡界隈を象徴する建物。
昔は大歓楽街で賑わった街だった。
夕方になると歩道に扇形に灯る街灯。
この街らしい。
会合の帰りに「蘭々」へ。
盛岡劇場の近くにある。
開店は昭和30年代の後半だろうか。
60年近い歴史。
以前は深夜まで開いていたので飲み会の帰りに寄った。
数人でテーブルに座れば、
まず、餃子とビールで、また飲んで〆にラーメン。
あっちもこっちも呑んべいばかり。
あの頃の仲間たちは元気だろうか。
その日は久し振り。
女将さんと大将に挨拶して、頼んだのは塩ラーメン。
澄み切ったスープ。
半熟卵がのり、コシのある麺。
あっという間に完食!
懐かしい町中華。
盛岡にはまだまだ長い歴史を刻み続ける店が、あちこちに残っている。
いつまでも元気でいて欲しい。
「ご馳走様でした」と会計。
今宵は、ゆっくり路地を歩いて帰ろう。
「えぞっこ」
盛岡市中の橋通一丁目
「蘭々」
南大通一丁目