Love Theme from Romeo and Juliet - Joslin - Henri Mancini, Nino Rota
<音楽が流れます、音量に注意>
春めいた日の午後、
メールが届く。
「庭のカフェで、春を感じに決ませんか」
丁度、近くを走り回っていた。
「もう少ししたらお邪魔します」と返事。
30分ほどして着いた。
庭のテーブルクロスが風に揺れる。
先客がいて、珈琲を飲み終わったところだった。
まだ風は冷たいが、頬を温める陽射し。
帰る方に挨拶して見送り、座った。
小さな庭のテーブルひとつのカフェ。
オーナーはデザイナーで活躍の山崎さん。
珈琲、トマトとお菓子を持って来た。
器に赤が映える。
色々な話をしながら、ゆっくり飲む珈琲。
傍らに緑のトマト。
井戸もある。
一杯の珈琲から心が広がっていく。
ちょっとした空間も山崎デザイナーにかかれば、
素敵で心地良い場所になる。
次の仕事へ向かう間、つかの間の春を感じた。
脳の一つひとつの細胞が目を覚ますようだ。
帰り際に、
「お菓子を持ってくれば良かった」と言うと。
「トマトパーティーもいいでしょ」と笑う。
頷いて、素敵なカフェを後にした。
続きの仕事を終えての帰り道、空から鳴き声。
見上げると次から次へと白鳥の編隊。
みんな盛岡の街の空を北へ飛ぶ。
白鳥の鳴き声は、
街の人に別れを告げるようにも聞こえた。
その夜、
部屋で珈琲を淹れ、お菓子を並べた。
食べながら目を閉じると、小さな空間の風と光が蘇る。
北上のアトリエクーコで買ってきた「アーモンドモナカ」
香ばしいアーモンドを包むサクサク。
そして杏子のパウンドケーキ。
たっぷりの杏子の風味を味わう。
その夜は、カフェインレスコーヒー。
寒さも和らぎ、灯油の減り具合も緩やかになった。
のんびりしていると、窓の方から白鳥の鳴き声が聞こえた気がした。
たぶん空耳。