Tete Montoliu - Frenesi - Contigo en la Distancia - Maria Elena
<音楽が流れます、音量に注意>
子どもの頃、春の雪の中、長靴を履いた帰り道。
浅い水たまりに立ち止まる。
濁った水の中に、足を交互に動かして雪を丸くかき集める。
仕上げは、てっぺんを平らにする。
まだらに茶色のチョコレートケーキ。
大人のカップルが歩いてきた。
道の端っこに寄った。
踏んづけられたチョコレートケーキ。
足をとられた女性を男が支えた。
こちらを気にするそぶりもなく、肩を寄せ歩いて行った。
あの頃、ケーキと言う言葉を聞くだけで心が踊った。
先日、盛岡の隣の滝沢市「マイヤーリング」に行って来た。
ケーキを買っていると、レジの傍に「マジパン」と書いた可愛らしい人形のような物が並ぶ。
聞いた事がある言葉だが謎である。
「食べられるんですか?」と聞くと、
微笑んで「はい」と言われた。
クリスマスケーキの上にのったサンタクロース。
真っ赤な帽子の上からちょこんと白い紐が出る。
母方の祖父が、お菓子と間違い食べたらしい。
その事を話す母は、笑いが止まらない。
家族は大笑い。
寡黙な祖父だけに可笑しさが増す。
そんな事を思い出しながら、ケーキを2個にマジパンも3個買った。
家に帰って調べてみた。
ケーキの上にのる人形のことだ。
ひと頃、トレンドだったらしく、言葉だけが耳に残っていた。
マイヤーリングのケーキは、甘さ控えめで人気がある。
もう一つは虎のケーキ。
どちらもほど良い甘さでぺろりと食べた。
入口の近くから厨房が見える。
時々、オーナーシェフらしい人を見かける。
手際よく、真剣な眼でケーキと向き合っている。
でも、意外に遊び心の豊かな人なんだろう。
更に詳しく調べると、
マジパンは、英語で「marzipan」からきており、
砂糖とアーモンドを練って作り、ドイツやスペインではポピュラーのようだ。
パンの一種とだと思っていた。
ヨーロッパでは各国の言葉で呼ばれ、食感や味には違いがあるという。
そんなところでスマホを置いた。
「うさぎ」
「パンダ」
「ひよこ」
それぞれ可愛らしい。
ケーキが明るく賑やかになるだろう。
さっきの虎のケーキのように。
味を知りたいが、どうも食べにくい。
「うん?」
傍らに猫君の気配。
これは危ない。
しまっておこう。
ちょっぴり、童心に返った夜。
それにしても、近頃、子どもの頃の「ケーキ」のように、
ときめく言葉があるだろうか?
それはそうと今日は「ケーキの日」。