古澤巌 ノクターン/ショパン~ミルシティン編
<音楽が流れます、音量に注意>
めったに早起きしないが、たまに目が覚める日がある。
しばらくぼんやりしていたが、目が冴えてきた。
億劫を振り切って出かけたみた。
今朝になって寒さが一時的に緩んだらしい。
積もった重い雪は歩きにくい。
八幡の通りから、盛岡劇場の方に曲がる。
開場100年を超える長い歴史のある劇場だ。
ここで、2年ぶりに盛岡の冬の風物詩「盛岡文士劇」が12月上旬に行われた。
その向かいの「いなだ珈琲舎」。
ドアを開け、珈琲の香りに誘われるようにカウンターの端に。
「おや、珍しいですね、午前中から。」とマスターはニコリ。
「モーニングをお願いします。」と言ったが少し照れ臭い。
午前中に来るのは年に1度、あるかないか。
お客さんは、みんなモーニングセット。
ドアの向こうに紅い郵便ポスト。
ここから眺めるのが好きだ。
もう7周年。
「早いものですね。」とマスターに言うと、
「こういう形になるとは、思ってもみませんでした。」
今は、隣に焙煎所と菓子工房まである。
「千葉さんは、向かいに居た頃、今の自分を想像できましたか?」
「どうなんだろう・・・」
返事に戸惑った。
聞かれても当時の想いが蘇って来ない。
あの頃、先のことを考えていなかった。
セットの珈琲はマンデリンにした。
テーブルナプキンも洒落ている。
ほどなく、カウンターにモーニングセット。
2年ぶり、いや3年・・・
とにかく久し振りのモーニングセットは相変わらず綺麗だ。
フランスパンにジャムとバター。
瑞々しい野菜。
茹でたての卵。
この、こだわりの卵が、また美味しい。
毎日、こんな朝食だったら嬉しい。(笑)
雑味のない、香り豊かな珈琲。
きっと丁寧な仕事から生まれるのだろう。
ほっとするひと時。
それを求めてみんながやって来る。
食べながら仕事を見ていた。
マスターと手伝うスタッフの小気味良い動き。
2人ともリズムがある。
マスターは2拍子、時々4拍子。
さすがトランペットを吹く男。
彼について行く、スタッフ。
席数が少ない店に次々とモーニングを求めてやって来る。
マンデリンを少し挽いてもらい席を空けた。
これで、年末年始はゆっくり珈琲を楽しめる。
足元の悪い道を帰りは力強く歩き出した。
今日は、いい日になりそうだ。
今年も盛岡八幡宮の初詣客には嬉しい、
元旦と2日も午前中、店を開ける。
(1月1,2日 7:30~12:00営業 3~6日 休み)
自家焙煎「いなだ珈琲舎」
岩手県盛岡市南大通1丁目12-17 メゾン サウスアベニュー101
電話・FAX 019-656-7766