Anita O'Day - Whisper Not
<音楽が流れます、音量に注意>
見ていると心が和んでくる「小さな絵」
三陸の小さな町に暮らし、作品を制作している「きくち ゆき」さん。
ある人に頼んで、宮沢賢治をモチーフにした小作品などを購入した。
(※作品の掲載は、作者から了解済み)
小学生の頃、教科書を買うと、
国語は、自分にとって一冊の本だった。
いいところばかりなので、一日で読み終えた。
「よだかのほし」が教科書に出て来た時、
どうして、どこまでも夜空を高く飛び続けたのか、
よく分からなかった。
賢治の作品は暗く感じ、どんよりと重かった。
こんな挿絵だったら良かったのに。
一昨年、賢治ゆかりの方に会う機会があり、
子どもの頃の感想を率直に話した。
すると「それでいいんです。でも心には残るのです。」と言われた。
勿論、大人になって読むと壮大なスケール感に圧倒されたり、
人間の欲望を見せつけられたり。
<よだかの星のあらすじ>
よだかは、綺麗なはちすずめやかわせみの兄。
醜い容姿だと鳥から嫌われ、鷹に名前を変えろとまで言われる。
生きるためとはいえ小さな虫の命を奪う自分に嫌悪する。
太陽に向かうが相手にもされない。
居場所もなく、とうとう命をかけて夜空をどこまでも高く飛び続ける。
そして、夜空で輝く星になった。
青白く燃え上がり星になる時、
よだかの目は、
とても穏やかだったに違いない。
もし賢治が今の地球を見たら、
どう思うのだろう。
<小さな絵・ガドルフの百合>
きくちさんの作品を見ていると、
時間が経つうちに色々な思いが静かに湧いては引いていき心が和んでくる。
<ポストカード.>
「機屋」という珈琲店で、賢治と小さな絵の話をある人にした。
美味しいネルドリップの珈琲とスイーツを食べながら。
「夏の夜のブレンド」と「シュークリーム」
丁寧に淹れられた美味しい珈琲。
夏の夜にぴったりのカップとソーサー。
深いコクを味わいながら賢治と小さな絵の話。
いつか鞍掛山の麓で「星空を眺めながら珈琲を飲もう!」となった。
話し終えると「シュークリームは、ラム酒の香りがする」と言う。
なるほどと頷くと、
「とても、いい時間をありがとう。今日は私のおごりです。」
と微笑む。
きっと話の感想をメールで書いてくるだろう。
いつも気に入ったことは時間を置いて語る人。
「はい」と答えた。
外は雷雨。
傘は用意していたが凄い勢い。
屋根、車は白く煙る。
その人を送り、
家に着く頃には時々覗く水色の空。
もう一度、賢治の本を読んでみたくなった帰り道。
きくちゆきさんのcreemaページ