It's Been a Long, Long Time Lars Ranch & The Swinging Brass in Berlin
<音楽が流れます、音量に注意>
呑み会もやりずらい昨今の盛岡。
打合せは広めの部屋で、離れて座る三人。
どうも意見が嚙み合わない。
休憩!
「千代寿し」へ電話し、鮨折を頼んだ。
小学生の頃、
父が今日はカウンターで「好きな鮨を食べていい」と言う。
途中で、中料理店の暖簾を潜った。
「なんだか中華そばが食べたくなった」
始めから考えていた父の作戦。
それでもカウンターに座るとガラスケースのネタを次々に指差した。
日本酒を呑み、御機嫌の父。
「どんどん、食べていいぞ」
雲丹を指差したら、
「イカもタマゴも旨いぞ!」
盛岡市八幡町の「千代寿し」
上と並み。
どちらも綺麗。
味を知っているだけに見ただけで、滲む唾液。
上の中トロが、口の中で消えていく。
すし飯が追いかけ、最後は一緒に消えていく。
美味しい鮨は途切れなく食べたい性分。
巻物も大好きだ。
海苔と寿司飯に包まれた違う食感。
どうしてキュウリがこんなに美味しくなるのかなあ~
お茶を飲みつつ、幸せ時間の余韻に浸る。
残っていた米粒を摘まんだ。
学生時代、「ナンパ」した事がなく、社会人になり、
一度だけ、声をかけた。
嫌なことが続き、ただの酔っ払い。
先輩に貰った鮨折をぶら下げ、タクシーを待つが捕まらない。
数メートル先にも車を待つ女性。
なかなか空車は来ない。
破れかぶれで歩み寄り、
「タクシー、来ないですね」
後ずさりされ、横を向かれた。
「よかったら」
と鮨折を差し出した。
こちらを見る。
たぶん妖しい男には見えないはず。(笑)
すると、
「呑みについて来る勇気、あります?」
頷いた。
妖しい狭い階段を登る。
ドアの中はお洒落な店でほっとした。
ワインを空けた。
通りに戻ると空車が連なる。
相乗りして先に降りた。
翌朝、少し乾いた鮨を食べたが美味しかった。
思い出した昨夜、渡された紙切れ。
ポケットを探し、仕事終わりにダイヤルを回した。
でも、途中で止めた。
青春時代の想いでは遠くなりすぎて、
なんだか他人ごとの小さな物語。
千代寿し
〒020-0872 岩手県盛岡市八幡町2−25