Poquita Fe · Flaco Jiménez
<音楽が流れます、音量に注意>
盛岡から国道46号を西へ。
雫石の街を過ぎれば緩やかなカーブと上り坂。
しだいにカーブも勾配もきつくなる。
仙岩峠は、幾つものトンネルで一気に抜ける。
田沢湖を我慢して田沢湖高原へ。
奥の乳頭温泉を目指す。
鶴の湯の案内板から左折。
道は細くなりカーブミラーを見ながらハンドルをきる。
湿地に咲く水芭蕉が歓迎。
川を渡れば鶴の湯別館「山の宿」
黒く太い梁。
冬の雪の重さもなんのその。
安定感のある木の階段。
13時半近い。
「いらっしゃいませ」
「まだ、ランチは大丈夫ですか」
確かめて靴を脱いだ。
廊下の突き当りが食堂「いおり」
窓から別館が見える。
いつか泊ってみたい。
広く高い空間。
囲炉裏ごとに仕切られている。
窓の外は緑。
店の人が炭をたす。
小雨で冷えた手と顔が温もる。
岩魚の塩焼き付きの「山の芋鍋定食」
まず、朱のお膳が置かれ、すぐ箸を持つ。
小鉢だけで、ご飯が半分に。
山の芋鍋が囲炉裏に吊るされる。
木製のしゃもじが、いい。
熱々の山の芋鍋の汁は、あっさり味で仄かに甘い。
山の芋は、口の中でほぐれて優しい味。
身体が喜ぶ。
お代わりをよそう。
「ん?」
「よそう」と「よそる」
雑誌作りの時、意見が割れた。
小学館「国語大辞典」は厚さ十センチの説得力。
早い話、「よそう」と「もる」が合わさって「よそる」
どちらも間違いではない。
あの時は、時代と共に変遷する流れで「よそる」にした。
でも、今日は元々の「よそう」
岩魚の塩焼きは20分ほど待つ。
「来た~」
添えられた小さな蕗の葉。
絶妙の焼き具合、塩加減。
ホクホクなのに型崩れしない。
皮まで美味しい。
普段それほど川魚を食べないが、頭と背の骨を残し完食。
満ち足りた午後のひと時。
両手を畳について窓の緑を眺める。
大都市で暮らす人達も一日も早く、気兼ねなく来れる日が来て欲しい。
ブナ林の中を戻る。
窓は全開。
鶴の湯は次回の楽しみにして「黒湯」へ。
森に残る雪渓。
時折、風に乗ってくる硫黄の匂い。
ラムネを冷やしていた。
東屋のある混浴露天風呂へ。
少しの間、白濁したお湯を一人占め。
風呂は写真NG。
以前に了解をもらい撮った写真。
今となっては貴重な一枚。
「温泉巡りとグルメ」の本作りもいいかも。
芯まで温もった帰りの坂道。
「えっ!」
白いガクアジサイ?
いやいや、まだ早い。
数年ぶりの乳頭温泉。
黒湯に孫六、蟹場、大釜、妙の湯に鶴の湯に国民宿舎。
時は流れても、頭の中の鳥観図は健在だった。
さて、目指すは角館。
・鶴の湯別館「山の宿」
・乳頭温泉「黒湯」