<音楽が出ます、音量に注意>
花巻から盛岡への帰りは寄り道ばかり。
仕事が終わった軽い心。
九月の末のある日、大迫の知り合いと逢う予定。
ここに来たら必ず寄る店がある。
「高鉱菓子舗」の銘菓「峰の山河」
昔、繁栄していた大迫で、
明治の中頃、近江商人だった初代が銘菓を作った
今も四代目が思いを込めて丁寧に焼き上げる。
一枚に十五分もかかる。
袋を開けると胡麻の香ばしさが香る。
指に伝わるしっとり感。
口に入れると胡麻がぷちぷちとして美味しい。
甘さ控えめで、品のいいお菓子。
続けて二個はいける。
昨年お邪魔した時、
奥さんから色々な事を聞いた。
盛岡と遠野を結ぶ宿場町として栄えた大迫。
周辺に金山もあり、葉タバコも採れ富を蓄えた。
商家では競うように高価な雛人形を飾り、
子供達が見て回った。
それが今の雛祭に繋がっているそうだ。
「葉タバコ」が気になり調べてみた。
江戸中期に釜石付近で、外国船が漂着した。
その船にフィリピンの「葉たばこ」の種子があり、
大迫に伝わり栽培された。
当時、国内で大迫でしか耕作されていない希少な葉で、
江戸時代半ば、南部葉の刻みたばこは江戸などに出荷。
火持ちが良く、口荒れしにくいので江戸の花魁たちに喜ばれたらしい。
なるほど大迫が繁栄するわけだ。
<銘菓・峰の山河>
峰の山河を買い、店を出ようとして「おや?」
棚の写真に眼が止った。
「花酵母パン、パンも作っているんですか?」
「ハヤチネウスユキソウ」「アツモリソウ」の花酵母。
勿論、野生種の採取などは制限されている高山植物。
公共施設からの助言も受け、研究。
地元の山林などで、
野生種の復活のため植栽している方などの協力を得たらしい。
小麦粉は、地元の「銀河のちから」「ゆきちから」など。
出来上がるまで、一年近くもかかったらしい。
水曜、土曜に販売しているが、運良く、買う事が出来た!
そろそろ、大迫の知人と約束の時刻。
いそいそと抱えて高鉱菓子舗さんを後にした。
<プレミアム花酵母・ハヤチネウスユキソウ花酵母パン>
その人は、「なかなか買えないでいました、凄い!」と手を叩く。
老舗の菓子店で作られた花酵母のパン。
本業の合間に、
時間と手間をかけて作るので週二回の販売。
ひと口食べたら止まらない。
互いに手が伸び摘まむ。
高鉱菓子舗さんや大迫の話をしているうち、
半斤の美味しいパンは、皿から消えた。(笑)
あっという間に時間は過ぎる。
出かけて色々なことを知る楽しさ。
今日もいい日だった。
<高鉱菓子舗も掲載されている「岩手 盛岡・花巻おみやげ手帳」>
盛岡の書店、花巻のマルカンビルなどや東京では、ジュンク堂書店池袋本店で販売。
ネットでは、イーハトーブ書店で取扱い中。