<音楽が出ます、音量に注意>
花巻市の棚田のてっぺんにある白い一軒家、
「粉ひきのゴーシュ」
記憶を辿ってみたら3年振り。
「そうそう、午後2時頃には売り切れてしまうんだった。」
<パン屋「粉ひきのゴーシュ」>
ちょうどオーナーが玄関の傍にいた。
「カフェは閉めてて、パンだけですが」
大きく頷いて中へ。
ランチタイムに着いたがカフェは、一時的に閉めていた
紅いドアが迎える。
初めて来た時、
ドアの中が想像できず、ワクワクだった。
パンの種類も多い店だ。
まだ、少し残っていた。
「すいません、これだけになってました」
と言いながら、りんごジュースを出してくれた奥さん。
今日は入れないが、カフェの北の窓からは一面の緑。
西の窓からは、陽射しと田園風景。
しだいに蘇る三年前の夏。
窓際に座り、緑を眺めながらのランチだった。
光と風と美味しいパン、
そして気さくなオーナー夫妻。
記憶が動画の様に動き出す。
パンを買い込んで、盛岡へ。
「あっ!」
だいぶ走ってから気がついた。
また、店の名の「ゴーシュ」の由来を聞き忘れた。
次回の楽しみにしよう。
<宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」のあらすじ>
町の楽団で、セロ(チェロ)を弾いていたゴーシュ。
音楽会に向け「第6交響曲」の練習中だが、
楽長から叱られてばかり。
そんな時、カッコウなどの動物たちから毎夜、演奏をせがまれる。
カッコウとの反復練習、タヌキから学んだ楽器のこと、
ネズミの母親からのアドバイス。
おかげで、音楽会は大成功。
アンコールに楽長が指名したのはゴーシュだった。
ゴーシュは、動物たちのことを想いながら、
「印度の虎狩り」という曲を夢中で弾いた。
そして、楽長や団員などからも賞賛を浴びた。
この作品は、賢治が亡くなった翌年に発表された。
<ゴーシュのパン>
「パンドゥミー」
「全粒粉バターロール」
「お塩のパン」に「レモンのパン」も買った。
ほのかに甘いパンや丁度いい塩味のパン。
一つ一つ、香りがよく、口の中で弾む。
どれも噛むのが楽しい。
素材にこだわり、
オーナー夫妻の身体に優しいパン作り。
三年振りのパンは、変わらず美味しかった。
今日は、お墓参りで花巻に行ってきた。
お墓のそばに桔梗が咲いていた。
萎む花あり、
これぞとばかりに咲き誇る紫あり。
蕾あり。
父や母、色んな顔を想い出す。
今は、樺で迎え火を焚くこともない。
盛岡の古い街並みで続く、
迎え火を見に行ってみよう。