寺井尚子 - キサス・キサス・キサス
<音楽が流れます、音量に注意>
シニア男2人と女盛りと20代の夜
広めのテーブルに4人がけ。
一つずつ席を空け、向かいとは斜めに座り、
ソーシャルディスタンス。
新しい座り方で古い話に。
「二十歳のころは電話も一苦労だった」と始まり盛り上がる男二人。
掴めるだけの10円玉を持ち、もう一方で受話器を握る。
長距離は、数枚なんてすぐ落ちる。
誰が出るか分からない受話器の向こう。
呼び出し音の間、手には汗。
突然、野太い声。
「だれですか?出かけていませんが」
「あっそうですか、失礼しました」
ガチャガチャと虚しく落ちる10円玉。
今やSNSの時代
深夜だろうが早朝だろうが、お構いなし。
今の子供は、ダイヤル電話もかけられないという。
<シニア2人の前には、美味しい焼き鳥>
女性達の前には串揚げ
場所は、花巻市の吞兵衛(どんべえ)
「壮絶な人生を生き抜いてきた」と語り始めるアラフォー。
ジョッキ片手に益々鋭くなる眼光。
若い女性は、3人の話に頷くばかり。
シニアは晒して笑うが、ついこの間の消えない彼女の傷跡。
目まぐるしく変わる時代。
都会では切符のない改札口。
盛岡から東京へは6、7時間かかった特急から新幹線で2時間ちょっと。
あの差し引き4時間は、どこへ行ったのだろう。
世代を超えて、摘まむ肴の美味しい出し巻き卵
そろそろの時間
「この頃、呑むと余計な事を言ってしまう」
と珍しくマイナーな調子のもうひとりのシニア。
ふと浮かんだ「酒は、泪か溜息か」のフレーズ。
自分にだって覚えがある。
話は尽きないが解散の時間。
その日は車でウーロン茶。
酒場で、ノンアルの夜はふとしたため息にも耳を澄ます。
皆の20歳の頃が頭に残った。
帰り道にふと思った。
お通しも美味しく、スタートがいい店は終わりまでいい。
コロナの影響で心配していたが、
吞兵衛のオーナーは元気そうだった。
久し振りの花巻の夜。
※花巻市居酒屋「呑兵衛」
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