Someday At Christmas Stevie Wonder
<音楽が出ます、音量に注意>
その日、花巻は、雪景色
足首まで埋まりそう。
志戸平温泉まで来た。
昭和の頃まで、花巻駅から小さな電車が出ていた。
お盆に家族で何度か来た。
当時、志戸平の駅のそばに小さな遊園地があり、ワクワクしたが、
旅館に入ってしまえば退屈だった。
ひとしきり射撃のゲームや妹と卓球、飽きて部屋に戻ると父はゴロリと腕枕。
「あ~ゆっくりしていいなあ~」と何度も。
風呂上がりの後は、熱燗。
志戸平を過ぎると大沢温泉
昔と変わらぬ佇まいの温泉で人気だ。
鉛温泉の方に少し行くと「バックシュトゥーぺ」がある。
一年振りだ。
<バックシュトゥーぺで取扱っている錫細工>
昨年も12月に訪れた。
今頃は、シュトーレン作りで大忙しのはず。
案の定、製造中の札。
ドアのベルを鳴らす前に開いた。
「いらっしゃい、今はケーキは一種類しかありませんがどうぞ」
ドイツ人のご主人が出迎え。
見事な錫細工に釘付け
狭い部屋に、メルヘンの世界が広がる。
丁度、ドイツから沢山の作品が届いたばかり。
説明しながら、次々と見せてくれる。
どれにも声が出た。
ご主人のドイツの友人が作る錫細工は、
表も裏も細部まで丁寧に表現され美しい。
錫細工はドイツの伝統工芸の一つだそうだ。
それにしても錫の光沢は優しいと思った。
ここは、もうクリスマス。
シュトレンの時期が過ぎたら、年内にゆっくり来ることにした。
忘れかけていた童話の世界が蘇った時間。
アンデルセンやグリムなどワクワク、ドキドキしていた頃は、遠くなっていた。
宮沢賢治の作品もそうだが、心の底に残っていることに気がついた。
一種類だけあったケーキを3個、買った。
とても美味しい。
濃厚かと思ったら、後味にチョコレートの風味が残り、
コンビニで買い込んできた珈琲とよく合う。
2個も食べてしまった。
<ブルベリーのチョコレートケーキ>
どうしても気がかりなことがあり、ドアベルを鳴らした。
「すいません、一つだけ教えて下さい。どうして、ここに?」
奥さんのお父さんが医者で、この界隈の診療所に来た。
自然の中の暮らしをとても気に入り、住み着いたそうだ。
後の色々ありそうな物語は、次の楽しみにして、
少し先の優香園のお風呂に向かった。