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8月になって初の岩山のGEN・KI
岩山には二つの展望台がある。
車を停めて、すぐの展望台の地下へ。
ドアを開けて脚が止まった。
懐かしい玩具、色鮮やかなグラス、とれたての野菜などが並ぶ。
奥からマスターが笑顔で出てきた。
いつもより口角が上がっている。
マスターは、「レイアウトを変え、いろいろ並べてみました」とニコニコ。
訪れる度、何かが変わっている場所だが、可愛い玩具には参った。
「子供達が来ると紙風船で遊びだすんですよ」
二人で何度も話しながら見て回る。
地元の本の中に「盛岡食いしん爺のもりおかじまん」も並べていただいてます。
存分に楽しんでテーブルについて珈琲を頼んだ。
窓ガラス越しの盛岡の街は、熱気で煙る。
ところで、広い岩手ではメンコの呼び名が地域でちょっとづつ違う。
「パッタ」「ベッタ」「バッタ」など
「バ」が破裂音だったり濁ったり。
昔は、大きいメンコから小さいものまで几帳面に揃えて家を出る。
道路の端の狭い空地が戦いの場。
みんな工夫を凝らす。
蝋を塗り、重くしたもの、ちょっと折り曲げ、そこをぶつけたり。
3軒隣に、仲良しだった四つ上のお兄ちゃんがいた。
小児麻痺の後遺症で耳が聞こえず、縦半身がうまく使えなかった。
週に三、四回は遊んだ。
小学三年生の頃、二人で、メンコ、ビー玉。
ある日、内輪の様な特大のメンコを得意げに持ってきたお兄ちゃん。
自分のは古くて小兵ばかり。
メンコを地面に叩きつけると小さいメンコは、飛び上がって一気にひっくり返る。
強そうな顔の漫画も簡単に。
やればやるほど取られていく。
それが何かの拍子に内輪の様なメンコがひっくり返った。
たぶん、石の上にのっかっていて神がかった風が吹いたのだろう。
喧嘩になったが、その後も二人で、よく遊んだ。
二人だけのルールができた。
遊び終わると取ったメンコを互いに返し合う。
話し終えると今度はマスターが話し出す。
「玄関前からフロアにかけて、夜明けのマルシェを開きたいと思ってるんです」
今の広さで満足せずに、「もっと拡大したい」と輝いた目で、身振り手振り交じり。
いつも明日を夢見ている。
「子供達が懐かしいメンコなんかで遊んでたら楽しいですよね!」
朝採りの無農薬の野菜と昭和の玩具で遊ぶ子供達。
想像するだけで、わくわく。
美味しい珈琲を飲みながら、懐かしい玩具で明日の楽しみを語り合う。
気がつくと閉店時間を過ぎていた。