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宮沢賢治が生まれ育った花巻

レコードの時代。

漆黒の丸い板が回り出したら丁寧に針を落として始まりを待つ。

針が上がると心地いい余韻に包まれる。

珈琲にたっぷりのミルクで聴いていた。

余韻に浸っていると6月上旬に食べた「賢治最中」が浮かんできた。

 

昭和30年創業の賢治最中本舗「末廣」の賢治最中

昔の黒いダイヤル式の電話にも迫力負けしていない。

昔のシングルレコードなみ(笑)

 

 

店は平成29年に改装されたが、懐かしさを見事に再現。

居心地の良い場所になった。

そのコンセプトがにくい「自然に人が集う、たまり場」

 

 

長居してしまった

 

直系14センチの最中に4等分の切れ目があり、す~っと分かれる。

一緒の人が、「白餡と小豆、どちらがいいですか?」と聞く。

すかさず「小豆」と答えた。

「雨ニモマケズ」とは宮沢賢治が生まれ育った花巻らしい。

 

おばあちゃんは、珈琲を淹れてくれる。

COFFEEメーカーだけが現代的。

 

 

奥が縁側みたいに座れる造り

仲良く並んで腰かけて最中と珈琲。

「普通の最中と違って餡がね、やわらかいんです」

とてもトロリとしている。

「うちのは水飴の量が少なめなんです」

でも皮はサクサクして美味しい。

 

最中の起源は古い。

歴史ある和菓子の殆どは貴族など一部の階級のもので、

庶民の味になるのは、たいてい江戸の頃。

米粉を原料に蒸して造る最中の皮は、

さらに改良され、今の皮になったのは明治時代らしい。

 

 

 

奥に腰かけて花巻の街を眺めて「ぼ~っ」

 

 

賢治と言えば古い鞄

 

 

 

餡を食べる時に皮に入れる最中もあるが賢治最中は、初めから一緒。

でも表面はサクッとして内側は餡を包んでしっとり。

 

子供の頃、食べると皮が口にへばりついて苦手だった。

実は、この皮が主役なのかもしれない。

中学生まで卵かけご飯が好きだったのに、

何故か学生時代に酷く苦手になり、殆ど食べなくなった。

 

今はどちらも好きだ。

長い人生、色々あった(笑)

ある人に炊いてもらったご飯と卵を食べ、美味しさに驚いた。

サクサクの皮とほど良い甘さの餡の最中と出逢ったり。

人はそんな風にちょっと変わったりしながら、育って行くのだろう。

でも、これからの人生で「最中と卵かけご飯が苦手になることは、もうない」と思う。

 

あれれ、次の場所の約束の時間に遅れそうだ。

ご馳走様の挨拶をして外に出た。