<音楽が出ます、音量に注意>
まだ「揺れる世代」と呑んだ
その人との相似点は、労働意欲に欠けること(笑)
でも、与えられた仕事は精一杯やりとおす。
好き嫌いは別にして大人の責任感。
やるからには自分の仕事として徹底してこだわる。
「だって、そうじゃないと気持ち悪くないですか?」
深く頷いた。
「心配性ですから、任された仕事は、あれこれ考えてしまいます」
心からの相槌。
「そして結局、頭が冴えて眠れない?」
自虐の笑いがテーブルに零れる。
せめて今夜は、美味しいもので癒されよう。
<muramaturi (むらまつり)のキッシュ>
とても美味しいキッシュ!
「ワイン呑みながらキッシュの焼き上がりを待つのもいいですね」
「う~ん、美味しい!」と目を丸くして。
話は、あちこちへ。
「あの、お会いするのって、久し振りですよね、この前はいつだったかなぁ~」
う~ん、いつだったかな?
あの日は、やけに寒い夜だった
酔っていても外は刺すような冷気で、すぐタクシーに手を挙げた。
送り届けた帰り道。
深く座り直して窓の外を見た。
盛岡の繁華街、大通りの週末は寒さなど平気な若者達で賑わう。
手を握って歩くカップルや大声で笑う数人の集団。
学生時代、呑んでは騒ぎ、夜を明かした
「呑む」ってことは、その日に帰らないこと。
さほど変わらない顔ぶれで、週に何度も新宿へ。
新宿の地図がしだいに広く、細かくなっていく。
酔いは深夜喫茶で冷めていく。
始発に乗る訳でもなく、大都会の早朝の汚れた路地をうろついた。
4年生になると友達と喫茶店から駅近くの人混みを見ていた。
ネクタイ姿のサラリーマンの列は、絶え間なく駅に吸い込まれる。
友達が呟く。
「こんな風に、毎日毎日、朝早くから通勤するなんてオレには無理だ」
肩まで届く髪を掻き分けながら「オレもできない」
2人の笑い声がガラスに跳ね返った。
しかし、結局、38年間のサラリーマン生活を勤め上げた。
<uramaturi (むらまつり)の生ハムとオリーブ>
丁度いい塩加減とオリーブを楽しみながら、何度もワインのお代わり。
長い間には色々な事があり過ぎる
楽しかった事は断片的で朧げだが、嫌な記憶は、鮮明で消えにくい。
誰しも意図的では無いにしろ加害者の経験もあるだろう。
被害者としての想いは忘れにくい。
とすれば、自分の記憶が擦れても相手の心には残っている事になる。
しかし、今となっては「人はみんな身勝手な生き物」とでも言い訳するしかない。
せめて、これからは言葉に気をつけて暮らしていきたい。