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引越しの季節
3月の下旬、事務所を移す人と引っ越し蕎麦を食べていた。
場所は、「若園」
その名の通り、盛岡の若園町にある。
老舗の蕎麦屋さんで修業した御主人の蕎麦は、美味い!
細くて繊細ながらコシがあり、そして喉越しがいい。
天婦羅は別の天つゆで頂くのも老舗と同じ。
向かいの人に「まるで、この蕎麦みたいですね」 と声には出さずに(笑)
「あ~美味い」とだけ言った。
さて、盛岡ではお年寄りが、紅葉卸を権八(ごんぱち)と言う人達がいる。
その理由を今は閉めてしまった別の蕎麦屋の親方から聴いた。
『歌舞伎の「鈴ヶ森」の中で、あの番随院長兵衛が、
「お若けえの、お待ちなせえやし」
すると白井権八が、
「待てとお止めなされしは、拙者がことでござるかな~」
このやり取りだけは知っていた。
歌舞伎の見せ場で、もろ肌を見せると見事な紅葉が彫られていた。
そこで「権八」と「紅葉」が結びついたとね、大工の棟梁から聴いたんだ』
それで紅葉卸を権八という。
しかし、いくら調べても分からない
白井権八が元は武士で、股引きの模様が鮮やかな紅葉色だった。
当時、それは武士だけが履く派手な色だったらしい。
また聞きの話が事実かどうかは分からなかった。でも、楽しい話。
紅葉卸、権八は、岩手、主に旧南部藩領の蕎麦文化の一つなのだろう。
ワサビが品薄だったので考えられたとも聞いた。
ここで、食いしん爺としては、ひとまず幕を下ろしたい。
とにかく大根おろしに唐辛子
これが実にいい。
大根の搾り汁を出すところもあってタレに混ぜるとまろやかで美味しくなる。
大根の粗おろしをタレに入れるのも好きだ。
ついたっぷりと入れてしまう。
紅葉卸がちょっと乱れて、朱の花弁が散ったみたいな(笑)
もうすぐ「令和」
平成の時代は、よく働いた。
ランチは混んでいたので残業前の腹ごしらえに「若園」に通った。
天丼、天ぷら蕎麦、そして天ざる。
あの頃は、夜遅くまで頑張っていた。
夜が明けて家に帰り、
シャワーを浴び、朝ごはんをかっ込んでまた出勤したこともあった。
なんて想いつつ、美味しい蕎麦を食べる。
「お疲れ様、お互い、これからも頑張ろう!」
蕎麦湯で乾杯した。