<音楽が出ます、音量に注意>

 

 

 

 

ランチの時間には北国の寒空の下、外まで続く行列の「たかみ屋」

暖簾をくぐっても、店内は立って待つ人で溢れている。

週末は、子ども連れからお年寄りまで。

 

その日のランチは遅れて2時半頃になった。

「たかみ屋はすいている頃だ」しめしめと秘かな楽しみ。

 

「いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ!」

予想通り。

混んでいると席も指定される。小上がりかテーブルの選択はできる。

テーブル席に腰かけると水を運んできた店員さん、「お決まりですか?」と聞く。

「はい、うまに!」

 

 

盛岡・たかみ屋のうまにラーメン

 

 

たかみ屋は、入って右手に小上がりがあり、中央から左にはテーブル席が並ぶ。

 

たいてい一人で来るのは、

なんか夢中で、黙々と食べたいのだ。

一つ奥のテーブルにお爺さんが入って来た。

ラーメンは早い。

あっという間にテーブルに届いた。

お爺さんは、酢を手に取った。

「やはりね」とニンマリしてしまった。

常連さんで酢をかける人をよく見かける。

「まろやかになるんだ」とある週3回の常連さんが話していた。

そうしてお爺さんは、首を下に向けたまま、一心に食べる。

 

さて、ひと手間かかる「うまに、もやし、かた焼きそば」などを

「つくりもの」と店の人達は呼ぶ。

混んでいるとつくりものは、まとめる様だ。

しばらくして、店の人が両手で抱えてやって来て、テーブルに置く。

いつものセリフ、

「お待ちどうさまでした、熱いので気をつけてください」

 

元々、ラーメンは、あっさり系が好きなのだが時々無性にこってり濃い系に惹かれる。

日本の飲食店では群を抜いてラーメン店が多いと思う。

全国各地にご当地ラーメンがあり、あっさり煮干し出汁の中華そば系から豚骨系まで。

麺の太さもそれぞれ。

個性に満ちた店やこだわりのラーメン、伝統を守る店。

また、朝ドラの即席ラーメンもスーパーに所狭しと並ぶ。

なんでだろう?

 

 

さて、食いしん爺流の勝手な、うまにラーメンの食べ方

まず、トロっとしたあんかけの熱いスープをレンゲにすくう。

「ふーふー」そしてもう一回「ふー」で、一口。

甘酸っぱいトロ~リ感が口の中に広がり、とても美味しい。

でも、熱い。

とろみが熱を逃がさない。

 

続いて麺。

「ふーふー」さらに「ふ~」と息を吹きかけ、ジュル、ジュル~っと。

細麺はスープに絡み美味しい。

次に野菜。

特に、プリプリの木耳とサクサクの筍がいい。

右手の箸で左手のレンゲに載せて冷ます。

行儀悪いがレンゲを宙に持ったままで麺を食べる。

そして、少し冷めた木耳と筍、そして野菜。

あ~ 美味い!

 

 

 

何とも、何ともくせになるとはこのこと。

熱く濃いめのスープなのに続けてレンゲですくう。

 

こうして半分ぐらい食べる頃にはほど良い温度になり、箸が忙しくなる。

身体は温まり、「あ~食べた」という満足感。

コップの水を一口飲んでは立ち上がる。

混んでいる時は、ささっと会計。

「ありがとうございました」

「あ~美味しかったです」と伝えて外へ。

 

「『食』は、満足感が大切なんだなぁ~」

なんて思いながら冷たい風をきって歩きだす。

 

さっきのお爺さんが、背筋を伸ばして交差点を渡って行った。