老舗そば屋の「直利庵」

創業明治17年、ゆうに一世紀を超える老舗。

盛岡の中津川の東、古い町並みが残る街にあり、今年改築したが雰囲気はそのままに。

 

12月27日(木) の夕方、今年は年越しそばの予約をしようと訪れた。

2階も1階もお客さんでいっぱいだった。

女将さんはじめ、スタッフは大忙し!

いよいよ師走、年の瀬、年越しの気分になる。なるなる。

 

丁度空いた席に一緒の方と座る。

「今日は、カツ丼でいきます」

そうきたか、ざるそばだと想っていた。

ざるそば2枚のつもりで来たが、さてさて向かいの人のせいで無性にカツが頭から離れない(笑)

 

そして、年末に頼んだのは・・・

 

老舗直利庵の「カツ中華そば」>

初めて食べた時は、しばらく口が開いていた

 

そば屋の中華そばは、時々見かけるがどこも美味しい。

勿論、どこも和風のタレを活かしたあっさり系。

直利庵の中華そばも、とても美味しい。

そこにカツだ。

 

 

 

<さて、カツの話>

 

たぶん、カツがスープに溶けかかっていくのを想像する人が多いと想う。

ところが、カツの衣は、しばらくしても剥がれない。

美味しい豚肉と一体のまま。

 

「いただきます!」と、ひと口スープを飲んで、

次は、麺を。

そして、一切れのトンカツ。

お~ サクサク感!

いやぁ~ とても美味しい!

衣にほど良くスープが染み込んで、カツ中華独自の味。

 

初めて食べてから時々、無性に食べたくなる。

平成最後の年の瀬は、「カツ中華そば」で〆だ。

 

 

直利庵では、その外にも珍しいメニューがある。

夏に人気の野菜たっぷりのそば。

麺、オニオンのすべてを隠すほどに鰹の削り節の載ったそばなど。

いつか女将さんが話していた。

「あのね、汁がしっかりしていれば、色々とアレンジできるんですよ」

そして、その時は、

「新玉葱が入ったので、美味しいですよ、甘いです」

とオニオンそばを食べて大満足だった。

 

来年には、古い街にも詳しい女将さんからじっくり、話を聴いてみたい。

 

これから、年越しそばの準備も含めて目まぐるしい忙しさになる。

恒例とはいえ大変だろう。

 

 

しかし、古い町並みにも少しずつ、高い建物が忍び寄る。

 

 

 街は生きている

 その日、盛岡の街は薄っすらと雪化粧した。

 外へ出ると風が痛い、地球温暖化とはいえ、これだけは当分変わらないのだろう。

 

 一緒の人を送り届けた帰り道。

 信号待ちをしていた時、年越しそばの予約のことを想い出した。

 「いやいや、後で電話すればいいんだ」

 なとど、ひとり呟く。

 7時過ぎ、もう車の温度計はマイナス4度。