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7月の下旬の蒸し暑い夜、寝返りをうってばかり。

眠れない、重い身体を起こした。

やっかいなことに頭が冴えてくる。

そう言えば、誰かが話してた。

岩山のてっぺんの展望台の改修が終わったと。

たいてい、こんな夜は唐突。

盛岡の街と岩手山を一望する岩山、展望台は2か所にある。

一つは、カフェGEN・KIのあるところ、その緩やかな坂の先にUFOみたいな展望台がある。

そのUFOの改修工事が終わったらしい。

 

スマホの写真を指で遡る。

出た。

2年前ぐらいの写メだ。

岩山の展望台には、等間隔でカップルが並び、それぞれの男女の距離が違っていた。

恋の深さの表われなのか。

 

 

たしか、錠をつけると二人が結ばれるとは聞いた。

鍵は、どうなったのだろう。

 

 

 

 

 

あの恋の証は、もうどこかに捨てられたのだろう。

 

そんなことを想っていると喉が渇いてきた。

「そうだ、あれを飲もう」

 

 

 

 

安比高原の白樺の樹液

透明な液体は、口の中でとろりとして身体にす~っと入って行く。

とても美味しい。

雪解けの頃にだけ、白樺から春のために貯め込んだ樹液。

白樺の葉や花を咲かすエネルギーの源を樹から分けて貰うらしい。

毎年のように買っている。

夏の疲れに白樺の力を借りる。

 

中学の頃、街から安比高原の近くの学校に転校し。

近くと言っても十数キロは離れている。

 

長い夜の連想は続く。

「初恋は?」と聞かれるといつも考えこんでしまう。

幼稚園の頃、丘の中腹のピアノ教室に通うMちゃんを

長い階段の上から待ち伏せしていた。

ただ、見送るだけだった。

 

小学校、

誕生会に呼ばれるかどうか、ドギマギしていた同じクラスだったSちゃん。

 

やはり違うだろう。

中学で、帰り道を何度か一緒に帰ったYちゃんだろう。

話すだけで有頂天だった。

その日は、夜になってもハイで、教科書や参考書が手につくはずはない。

 

高校生になってときめいたKちゃんへの想いは、あれはもう大人の恋のリハーサルだろう。

これから、さほど機会はないだろうが「初恋」の話になったら、中学時代と言おう。

 

山に囲まれた町は、美しかった。

學校の玄関の下駄箱で一緒になると、

「帰ろう」

という言葉にドキドキしたものだ。

黙って頷いてばかりの十分ほど肩を並べて別れ道。

その間の幸せな時間。

可愛らしいえくぼは、しっかり記憶に残っている。

 

 

ネットで調べてみた。

「初恋」 初めての恋、

「恋」 相手を好きになる、大切に想う、一緒にいたいと想う。

ただの文字の羅列に見えた。それだけ表現が難しいのかな。

 

あれ、カーテンの向こう側が白んでいる。

さて、眠らなくては。

「いい年をして、初恋とはね」と呟いた。

苦笑しながらミルクを飲んだ。

 

もう少しでお盆。

帰省する友達と呑む時に、聞いてみようかな?

少し、酔いが回った時間あたりに切り出してみよう。

「忘れた」

「いい年して、初恋?ハハハ・・」

「なんで、その話題」

一人ぐらい、「俺はね~」とか話しそうだ。

 

あの盛岡の街の夜景を背景にしたカップル達の距離はどうなったのだろう。

あの岩山の錠に祈るほど、青春の恋は危うい。

 

安比高原の白樺の樹液は、初恋の味ではない、ほどよく成熟していると感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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