<音楽が出ます、音量に注意>
一度目 「まさか、この先にカフェはないだろう」と途中で引き返した。
二度目 見つけた 「ここか?緑に囲まれ家の中が見えない」 留守。
諦めかげんの三度目、人の気配がする。
車から降りて入口を覗く女性が出てきた。
カフェの入り口は別の場所だった。
「車は、庭先にどうぞ」
盛岡北山の「きじやまCafe」
だんだん細くなる道を登り、ついには車一台がやっとになる。
一番奥に濃い緑に包まれた隠れ家みたいな家。
カフェの入口
まるで森の中に分け入って行く様に身をこごめて階段を登る。
まるで、ジブリの世界じゃないか!
奥さんが入口で出迎えてくれた。
爽やかな笑顔にほっとする。
中に入って、また驚きが口をついた。
「へぇ~凄い、森の中だ!」
三度目の驚きは、マスターの風貌
暑いのに、この衣装に長い髭、普通ならちょっと緊張してしまいそう。
でも、みんな奥さんを見て安心するらしい(笑)
食い心爺は、好奇心が湧いたが、普通は、少し驚くだろう。
子育てのめどがついた頃から始め、ほぼ2年。
カフェそして夜はBar、それに民泊。
これは、いよいよジブリの世界だなあ~
テーブルが二つとグランドピアノ
窓は大きく、濃い緑がガラスに触れている。
とても綺麗だ。
珈琲とバタートーストを頼んだ。
スクランブルエッグはチーズ入り。
マスターは、珈琲を煎り、サイフォンで淹れる。
豆はトラジャで、手煎り。
シャカシャカと小さなプライパンに網のついたよう器具で煎る。
すると焙煎の香りに包まれる。
テーブルに並べつつ笑顔で、
「あの人は、形から入るんです」
薫る珈琲と奥様の担当のスクランブルエッグ&バタートースト。
とても美味しい。
ピアノの椅子に座り、味わっていると疲れを忘れ、自然にこちらの笑い声も大きくなる。
昨年の11月には、ローマで調理を学習
乗り換え4回の格安チケットで、街中の教会に泊まったそうだ。
聖堂で観劇していると着物を羽織り、紺の前掛けをしていたマスターは踊りの誘いを受けた。
ワルツだったそうな。
超目立った日本人。
まてよ、空港で何度も乗り換えするのは、語学堪能じゃないと大変だ。
この二人、只者じゃないなぁ~
デザートに出してくれたのは、台湾のマンゴー
これも美味しかった。
今年から、人に薦められて小さな畑を借り、
獲れたズッキーニは、かぼちゃの原種みたいにでかい。
「数日、東京に行っているうちに大きくなってたんですよ、それでお客さんにノルマとして渡すのです」
マスターは、嬉しそうに笑う。
調理には、半分ほどの物がいいそうだ。
勿論、無農薬。
しかし、奥さん、
「うちの畑は、草、茫々なんです」
楽しそうに笑う二人。
あいにくその日は霞んでいたが、岩手山も見えるそうだ。
二人に玄関先まで送られ、そこから見えた景色
「私たちにつきあって、疲れたんじゃないですか?」とマスターが言う。
「近いうちにご飯食べに来ます」
と答えた。
逆に背負ってきた疲れは森の中で殆ど消えていた。
お伽話の世界は尾を引いた。
盛岡の住宅地の端っこの森の中の「きじやまCafe」
ハンドルを握りながら、あの二人のもてなしは素晴らしいと想った。
何故って、あんなに居心地の良い空間は、そうあるものじゃない。
マイペースな風で、実は訪れる人を楽しませてくれる。
飾ってあったお子さんの描いた絵も次は、じっくり見てみたい。
今度行った時のランチが楽しみだ