<音楽が出ます、音量に注意>

 

 

この、曲、

尾崎豊が、オーディションで歌った「ダンスホール」

こんな曲を16 歳で創り、

歌ったら、

とても普通には、寿命を生ききれない気がする。

聴いているうちに、きがつけば瞼を閉じて、

聞き惚れる。

 

ディスコの時代、

夜な夜な踊りに戯れる女の子たちをテーマにした曲。

 

オーディションの時は、

もう少し、テンポが速い弾き語り。

その16の時が一番好きだ。

「そうさ、おまえは孤独なダンサー」

 

墓参りの季節、

咲き始めた萩の花。

雨粒に打たれて、揺れていた。

わけもなく、この季節によく聞く。

 

そして、

蘇る青春の残像。

いまさらながら。

 

 

 

16の時、恋をした

それは、みっともないほど、何も言えない恋

 

ある日の朝、

通学の列車、せいぜい乗る時間は7、8分。

いつもどおり、走ってホームに駆ける。

列車の入り口で、偶然、

女子の後ろに並んだ。

中もいっぱいで、進まない。

後ろからぐぐーっと数人の圧力。

一気に車内に押し込まれた。

走り出した時、

連なって押し込まれた2人、

カバンを持つ手が交差していた。

とても外れそうにない。

うつむく、ふたつに結った髪の毛は、すぐ目の前。

列車の揺れに併せて、

2、3度、

交差した手首が触れた。

それでも、

思い切り、迷惑そうな顔しかできない。

ましてや、言葉など。

 

数分の出来事。

駅に着くと、

何事も無かったかの顔して、

遠くに視線を投げ、速足の自分。

「なんで、オレは、ひとことも言えないんだろう、情けない・・・」

せめて、「だいじょうぶ」と、ぐらい。

呪文の様に繰り返す。

 

下駄箱に手をかけて溜息。

「おはよう」

辺りを見回したが誰もいなかった。

 

 

ときめきは、時に痛々しくて。

あの頃は、

よく逃げ出してばかり。

 

その頃の気まぐれな日記が断捨離で出て来た。

「朝から、とんでもない偶然が起きた」

と始まり、

「情けなさ過ぎて、嫌になる」

そして、

「変わりたい、思ったことを伝えれる男になりたい」

で終わっていた。

 

 

 

18で、やっと一人旅、金沢と能登半島を巡った。

 

バスを乗り継ぎ、半島を巡り、日本海に落ちる夕陽を見た。

2列前に女性が座っていた。

ポニーテールの横顔が、朱に染まる。

陽が沈み、

彼女の瞳は、窓の外より暗く見えた。

 

輪島の駅に着く頃には、とっぷりと暮れて、

乗客は2人だけになっていた。

ドアが開いても、

立つ気配がない前の人。

通り過ぎる時も、外を見ていた。

 

バスを降り、宿を探してウロウロ。

駅で宿の場所を聞き、バス停に戻ると、

その人がバスを降りて来た。

片方の脚が曲がらず、杖をついていた。

すぐに追い越す形になった。

溢れ出る切なさを振り切らなくては、と思った。

激しく鼓動する身体を抑え、

追い越しながら、

必死で言った。

「疲れましたね、気をつけて旅してください」

かなり、ぶっきらぼうな言い方だった。

でも、精一杯。

 

彼女は、脚を止め、えくぼを浮かべた。

「ありがとう、そちらもいい旅を楽しんでね」

 

初めて知らない女性に声をかけた。

鼓動がおさまり、

ふわふわとした気分で宿に向かった。

 

 

 

「ダンスホールの世界」には、

ほど遠い。

だから、とりあえず普通に、

生きてきた。

 

 

花火。

北国の夏の終わり、

夜風に長袖が恋しい。

 

夜空に拡がる、一瞬の紅。

身体中に伝わる轟音、

戦争ってのは、こんな音なのか。

 

 

並ぶ沢山の墓石。

漂う、線香の人を偲ぶ匂い。

 

 

 

お盆になると想い出す沢山の顔。

あちこちの墓を巡り、手を合わせる。

「とりあえず今年も来たよ・・・・・」

 

決めつけてしまいがちに、

繰り返す日常。

せいぜい、色々なことへの、

ときめきを忘れずに生きようか、

皆の分も。

 

「そうさ、おまえは孤独なダンサー」

 

 

 

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