ゴールデンウイークに盛岡を訪れるという関東に住むMさん。
だいたいの日程を聞いたが、久し振りに会えそうだ。
彼が行きたい場所の一つの「オーロラcoffee」
ところで、爺は、4月中旬から断捨離中。
連休に入り、加速。
衣類、本、雑貨など出るは出る不用品の山。
火が点くと止まらない性分。
玄関、廊下、外の階段までゴミ袋。
必要だったはずの物は、微かなためらいを残し、一瞬でゴミに。
昼、出前が届いて「あっ!」スマホと財布が無い。
古本屋さんに売ってきたお金で間に合った。
さては、随分ほっておいたのでアメショウ君が、テーブルから落とし、
辺りのゴミ袋に・・・いや、ごめん、悪いのは自分。
捜さなくては。
Mさんは、たしか明日、5月3日に、
2時頃に盛岡から電車で雫石駅着。
駅からレンタル自転車で、雫石を巡るはず。
翌日「雫石園地」は、紺碧の空
ここの桜並木は、大きく弧を描いて延々と。
森の向こうに御所湖が見え隠れ、これがまた絶景。
自転車のMさんは見当たらない。車で先回りしよう。
次の目的地は、オーロラcoffeeのはず
小さなコンテナハウスの中に拡がり続けるマスターの世界
北欧が好きで、「オーロラcoffee」と名付けた。
カップ&ソーサーもアラビア。
3月の半ばの夜に訪れた時の事、
東日本大震災のボランテイアで被災地に来ていた人が、
5年後の被災地の様子を見に来て、
帰る前にオーロラcoffeeを訪ねた。
彼女は、関東で家具関係の仕事をしており、マスターは、そこの家具がお気に入り。
突然の来客に驚いたマスター。
ちょうど椅子カバーが汚れ、困っていた。
彼女は、帰る時間になり、
取り外した座板を大きなザックにぎゅうぎゅう詰め込んだ。
近くの駅まで歩くというので盛岡まで送った。
素敵な店で使われていて嬉しかった事と、
震災から時が過ぎ、関東では風化が進み、これでいいのかと話す。
「おかげさまで、ゆっくり冷麺を食べて帰れます」
と爽やかな笑顔。
椅子は、ひと月半後に、綺麗に蘇った
その椅子に座り、美味しい珈琲を飲んでいるとマスターが、
「食いしん爺のお薦めのうちに来ると電話がありまして」
「えっ?」
「男の方で関東から、明日お見えになるそうです」
雫石巡りは、明日だったのだ。
ちょっと落ち込んで部屋への階段を登ると例の振動音。
重ねた一番下のゴミ袋の中で「ここ!」と叫んでいる。
ほぼ24時間ぶりに社会と繋がる。
Mさんはじめ、着信やメールが沢山。
Mさんと繋がり、明日の6時の新幹線で帰るという。
4時過ぎに盛岡駅前の「詩季」で会えた。
「本当に失礼しまた」
「やあ、会えて良かった。あのオーロラcoffee、素晴らしい!」
酸味を楽しむと言われ、期待感が薄らいだが、
初めての味、香り、そして、本当に素敵なマスターの世界だと、
身振り手振りで熱く語る。
小岩井も巡り、一本桜の辺りは大混雑でも自転車はスイスイ。
彼は、バスケットで鍛えた身体で、山登りや旅など超アクティブ。
電動の補助付きとはいえ、自転車で巡るとは。
断捨離で疲弊している爺には真似できない。
人と会いエネルギーを貰う。
あっという間に、時間は過ぎる。
大きなザックを担いで駅舎に向かうMさんを地下道の入口で見送った。
しかし、スマホ、一つ無くすと大変な事になる現代。
大切な連絡先は、メモしておこう。
それも断捨離した方が、いいものか?