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雨の盛岡八幡宮、参道の石畳に映る朱の大鳥居。

その上をビニール傘の子供が、短い影を引きずって歩いて行った。

朝からの雨は、夕方になっても止まない。

 

一緒に咲いた梅も桜も、

「雨にも風にも負けず」 花弁は、まだ舞い落ちていなかった。

 

 

よく見ると、

見上げる狛犬の周りには、散りたくないと未練、

運の悪い花びら、

頭や足元にへばりついて。

 

 

白梅、紅梅と石灯籠

桜と一緒に咲いてしまった後悔

 

 

 

 

雨の中を彷徨ってみようか、約束まで、まだ時間はある。

彷徨う事は、外に出なくても。

部屋に戻り、

窓を開け、椅子に深く腰掛け、ぼんやり。

 

桜は好きだ。

でも、

時として、迫力があり過ぎて

狂気、妖気が、

迫る来る。

 

 

一昨日の夕方、通りすがりに見た桜。

女の人が、その長い髪を振り乱す様に見えた。

両眼は血走り、

瞳から怒りの稲妻、

限界まで吊り上がった眉。

 

歌舞伎「桜姫東文章」

夜更けに、ある男に襲われた姫は、

その身体に残った、その夜の快楽が忘れられずに、

果てしなく遊女にまで堕ちてゆく。

 

 

 

cherry  blossom

アメリカの大統領、

ジョージワシントンは、子供の頃、

桜の木を切ってしまい、自ら父に謝ったという。

考えてみれば、斧を振り回したのだから、怖い遊びだ。

 

 

半分眠っていた。

時間だ。

身体の血流を良くしてもらい、全身をケアして貰った。

あちこち、苦痛と気持ち良さの狭間で漂う。

施術が終わって、

先生と珈琲を飲みに誘った。

以前に、ドリップパックを進呈したら、喜ばれた。

では、と連れだって、その「いなだ珈琲舎」へ。

 

 

カウンターで、マスターの仕事ぶりを見ている。

「周りからじゃないんだ~」

「色々な淹れ方があるでしょうが、ここだけは、殆ど一緒だと思います」

褐色の粉が細かな泡になって踊り、丸く盛り上がって蒸される。

食いしん爺は、気がつくまで半年。

その人は、初めてなのに眼を付けた。

「真ん中からね」

 

マスターは言う、

「お客さんの眼の前で、自分の美味しい淹れ方を見せて、持ち帰った豆で、家でも美味しく飲んで欲しいのです」

「美味しい」

と珈琲を飲みながら頷いている。

 

 

職人同士の会話を尻目に、食いしん爺は、チーズケーキを食べていた。

 

 

さっぱりして、相変わらず美味しい。

 

 

珈琲に合うものを丁寧に作り、美味しさは倍増。

 

 

満足して2人に、花見について聞いてみた。

「まだ、行ってないですね」

と揃った答え。

 

早くも、弘前も満開らしい。

弘前の桜のトンネル。

トンネルの隙間の向こうも二重、三重に桜の花。

 

満開を過ぎた夕方に訪れた時の事。

風があり、枝が大きく揺れる。

空からも地上からも降り注ぐ花びらが、

トンネルの中で渦を巻く。

後ずさりしそうになるほどの「狂気と妖気」が迫って来た。

想い出した。

あれからだ、

桜の見方が少し変わったのは。

 

桜の狂気と妖気、漂う夕方の空。

 

 

帰り道、

外は、雨は傘もいらないほど。

まだゆっくり花見をしていない。

さて、今年はどうしよう?

 

それにしても、美味しいチーズケーキと珈琲だった。

 

 

 

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