<注文の多い料理店のあらすじ>
イギリス風の身なりの紳士2人が、猟銃を担ぎ山に狩りに。
獲物も無く、「鹿の腹に2、3発撃ち込みたい」などと言う。
だいぶ山の奥。
案内役も、まごつくほどで、何処かへ消える。
あまりの山のもの凄さに、2匹の犬も唸り、恐怖で泡を吹いて死んでしまう。
しかし、彼らは、2千4百円とか、損害の事ばかり。
山の異様な気配に、宿へ戻ろうとするが、ますます、風は強く、
樹々が、ざわめき、道に迷う。
途方に暮れていると西洋風の「料理店 山猫軒」が現れる。
「注文の多い料理店ですからご承知下さい」
一つ扉を開けるごとに注文。
しまいには、「もうこれだけです」
壺の中の塩を沢山、体に揉み込む様にと。
ようやく自分達が食べられると気づくが、鍵穴から覗く、恐ろしい目。
恐ろしさに体が震え泣き出す。
あわやの時、死んだはずの犬が吠えかかる。
そして、料理店は消えた。
2人の顔は恐ろしさのあまり、紙屑の様に、くしゃくしゃになり、
そのまま戻る事はなかった。
<可否館の珈琲&くるみクッキー>
この本が出版された碑が建つ光原社
中庭のマジエル館で当時の資料が見れる。
盛岡駅から、ゆっくり歩いて10分ほど
北上川に架かる旭橋を渡り、直ぐ左に曲がる。
川に沿った通りの材木町のあちこちに、
宮沢賢治のモチーフ。
通路の向こうに、
「注文の多い料理店」が出て来そう
抜けると、あるのは、料理店ではなく
「可否館」
ドアを開ければ、別世界
お気に入りは、窓の傍
今日は、蒼のカップ&ソーサー
皮の椅子に座ると、時間の流れは、ゆっくりと。
そして「くるみクッキー」
刻んだくるみが、厚く、びっしり
シンプルだが、ファンが多い
美味しい。
ほんとは、もう1個食べようかと思ったが、
向かいのモーリオで買う事にした。
器も楽しい
皮の椅子に身体を預けていると、
たいてい、映画のフィルムの様に連なり、
しだいに動き出す記憶。
光原社で小さな深紅の椅子に目をつけた三才。
自分が抱えて帰ると言い張った。
家に着くと、
脚の一部が、少し欠けていた。
「何処かに、落ちて、待っている」
と泣きべそ、
捜しに戻ると言う。
小さな背丈で両手て抱えても、
何度も椅子をアスファルトにぶつけた。
そんな子も社会人。
「注文の多い料理店」は、当時、光原社の創業者と宮沢賢治が、
幾度となく話し合い、苦労して刊行。
しかし、本は売れなかった。
長い年月を経て脚光を浴びた。
金持ちの青年が、犬の命を金銭で計ったり、
店の注文を自分達に都合よく考えているうちに、
窮地に陥り、震えて泣くばかり。
結局、その犬達に救われる。
冷酷な扱いを受けても救いの手を差し伸べる。
しかし、自然を侮った青年達の顔に刻まれた皺は、元に戻らない。
宮沢賢治の世界観。
想い出に浸る。
あるいは賢治を考えてみたり、
私にとって可否館は、そんな場所。
しかし、夜の森は、風が無くても怖いことがある。