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1月9日、
盛岡を出て、乳頭温泉鶴の湯別館で山芋鍋と岩魚。言う事無し。
さて、まだ雪の少ない道を乳頭温泉の奥へと走しる。蟹場温泉で行き止まり。
その一つ手前の「大釜温泉」
「大釜温泉の雪見、露天風呂」
向かう道は、白と黒の世界。
ブログを始めた一年前も、この道を走った。ブナの林を見ていると、父の墨で描いた冬の林の絵を想い出す。この間、帰った実家の壁には、もう飾られていなかった。
でも、眼を閉じれば、くっきりと。
その父、母と中学の頃、一度だけスキーをした事がある。
安比高原スキー場の近くだったが今は、ない。
ロープトウで転びそうになり、必死で太いロープに掴まる。180センチ近い大柄な父は、上で笑っていた。雪より眩しく見えた。
登り終えると下から突然、母の笑い声が木霊する。
父は、もう滑り出していた。滑るというより、一直線に降りて行った。
どこまでも。
母のいるロープトウの乗り場までは、せいぜい数十メートル。
どんどん下まで。コースの外に降りて行った。
後の話では、父は、止まれなかったのだ。それを悟った母は、しゃがみこんで大笑い。
中学生の僕は、何処までも真っすぐな二本の平行な線を見ていた。ようやく、父が見えるところまで登って来たが、眩しさは消えかかっていた。
母は、
「笑い涙が凍りそうだ」と目頭を押さえて笑う。父は恐ろしい形相だったらしい。
雪が降る季節になる度に、話は大袈裟になっていった。
右に左に、幾度も白と黒のカーブを曲がる。
この近くにも小さなスキー場があった。
何年、十年、いや二十年前だろうか。
11月の下旬には、ここにあった小さなスキー場か、八幡平のスキー場で足慣らしをしたが、今は、もうどちらも無い。多くのスキー場が消えた。
到着!
行き止まりの手前の「大釜温泉」
学校の校舎を移築した外観。
早速、内湯に。
湯煙が優しく、呼吸が気持ち良い。
いつもより雪は少ないが、「雪見、露天風呂」 爺には適温。
贅沢!
思えば、変わった自分、そして変わり様のない自分がいる。
ブログを始めて1年の間に、美味しもの探しと沢山の記憶が温泉の様に湧き出て来た。ちょっとした言葉で傷ついた思春期、自分を抑えきれない青春の頃。
今では、たいていの事は反芻し消化する。
生きるうちに顔を覆う半透明の膜は、層をなし地肌を隠す。良いのか悪いのか。
お湯で顔を拭ってみた。
そして、一年で数千人のブログを読み、山ほどの想いを知った。例え、その人の一面だったとしても。それは、それ。
このまま、しばらく泊まりたいと思う。
山から下りて、「山のはちみつや」で一息。満ち足りてスイーツ、仮にも食いしん爺。
蜂蜜入りのシュークリームが美味しい。透き通った甘さが好きだ。
満喫して帰ると、
部屋では、アメショウ君がホットカーペットで温もっていた。
そうか、アメショウ君にとっては、露天風呂に浸かっている様なもの?
山は、何日も雪らしい。
さて、スキーをメンテナンスしに行こう。
<昨年の田沢湖スキー場にて>