※ とても残念なことに、6月30日をもって閉店しました。
去年の冬から盛岡の南大通りに、気になる店があった。
何となく、「盛岡のグルメ」新発見の予感があった。しかし、暖簾をくぐる機会のない
まま、春が来た。
三月に、Y氏と話していた時、グルメ談義になり、
「そういえば、盛岡バスセンターから南大通りを南に行くと盛岡劇場の案内標識があり
ますよね。あの辺りに、釜飯屋さんを見つけました。とっても美味しかったですよ。」
Y氏は、新しい物を見つけるのが得意だ。
「しまった。」先をこされたか・・・・
食いしん爺にとって、「古い街の残る河南に、新たなグルメの登場」となるか?
4月に入ったある日、日も暮れてきた頃、花巻からの帰りに南大通りを走っていた。
盛岡劇場の案内板を目にして、Y氏の得意げな顔が浮かんだ。
そろそろ晩御飯の時間だ。そうだ!
「ご飯食べましょうか? 行ってみたい店があるんです」
と助手席に声をかけてみた。
「どこで、食べるの?」
「ちょっと気になる店があって、釜飯屋さんらしいのです。」
「へぇ~、行ってみたい!」
店に入り、メニューを見た。
その店は、「釜飯屋」さんではなく、「土鍋御飯 花柚」でした。
まず、「春の野菜のべっこう あんかけ」ときた。
美味しいぞ!
もう、写メで説明。感じてください。
三品の春をいただきながら、「土鍋御飯」が炊けるのを待つわけだ。
すでに、ホタルイカ、白身魚で「土鍋御飯」への期待がますすま膨らむ。
出ました! 土鍋見ただけで、爺にはわかる。きっと美味しい予感的中です!
土鍋御飯の蓋を開けたら、美味しい香り~ 「ちりめんと山椒」
逢いたかった人に久し振りに逢った心持。
旨い!美味しい!!
米は、「アキタコマチ」だそうです。
爺は、早速、店主に聞いてみた。
「釜飯とは、また。違うんでしょうね?」
「はい、そうですね。土鍋は、保温性が高いんですね。そして熱の伝導性が低い
ので、ゆっくり加熱されます。なのでお米から旨味が、より多く出てきます。」
なるほど~
盛岡は、河南で爺の新たな「グルメ」発見!
感激と満足で、さらに満腹。
一緒に行った人も、
「ほんとうに美味しかった。穴子ご飯、最高ね。ありがとうございました。」
と店のご主人言い、
「どうして、こういうお店を始めたのですか?」
「出汁をとるにしても、土鍋でゆっくり炊くにしても、なかなか家庭で、できないものを
ゆっくり味わっていただこうと思いまして。 修行先で料理の〆に出していたのが、
土鍋御飯なのです」
「近頃、疲れ気味だったので元気が出ました。」
その人の笑顔が店主には嬉しそうだった。料理人として何よりだろう。
さて、「盛岡食いしん爺」です。
翌日、一ちゃんとランチして打合せの予定だったので。
「土鍋御飯 花柚」で待ち合わせ。
「初めて入りました。この辺に土鍋御飯ってあったんですね~」
「まあ、期待していいと思う! じつは、昨夜も来た。」
「エッ~! さすが、食いしん爺!」
(一ちゃんとも味覚感が似ている。きっと感激するに違いない。爺は、密かに
彼のリアクションに期待している。)
季節の野菜の煮物は、野菜が昨日とちょっと違っていた。
(へぇ~、工夫しているなあ~)
次は、昨日とうって変わって、「初鰹」だ!
一ちゃん
「鰹ですか~ 美味しいですね~ 初鰹だ!」
と満足気。
(またまだ、驚くのはこれから・・・なのだ)
白身魚は、昨夜と同じ。
(さあ、来るぞ、一ちゃんのリアクションが楽しみだ)
土鍋御飯来ました! 幸せが、炊けました。
一ちゃんは「穴子」をオーダー。
「オオ~!! 旨そう!」
その後、黙々と食べ始めた。箸と茶碗を持つ彼の肘が高く上がる。
(想定どおりのリアクションに爺は、ほくそ笑むのでした。)
この日の一ちゃんは、本来は休み。打合せなのです。このところ休めていない。
せめて、癒しのひと時を・・・・
爺は「アサリ!」 美味しそうだ!
結局、二人とも黙々と食べる。
「うんんう、美味しい」「旨い、旨い」 二人の味の表現のボキャブラの貧弱なこと。(笑)
寡黙になって、ひたすら食べ続ける。
一ちゃんは、
「いやあ~ホントに美味しかった!」と、いい笑顔で店を出た。
何と、それから、三日後、爺は、また食べたくなって暖簾をくぐった。
オクラが艶々して美味しそう。
海老もご覧のとおり。
なるほど、鰹は叩き風に。
白身魚は、カレイです。
美味しい!
お椀は、ナメコ汁。
さて、きました!三日ぶりの対面。
今日は、「生帆立ご飯」です!
これも、また絶品。
爺は、今日も満足。
子供の頃、一関の駅前に釜飯屋さんがあり、爺のお爺ちゃんに連れられ、よく
行った。もう、今は釜飯屋のことを聞いたことが無い。
「なんて美味しいんだろう~」と思ったものだ。
おこげが、また旨くて、ヘラで釜の縁からキツネ色を徹底的に剥ぎとっては食べた。
小さな建設業を営んでいたお爺ちゃんの事務所が一関の駅前にあった。
学生時代に東京へ行っても、社会人になって盛岡に住む様になっても一関を通る時
は、ほとんど途中下車となる。
そして、事務所に入ると決まって、お爺ちゃんは、あまり時間に関係なく、
「ご飯は、食べたか?」 と聞く。
「まだだよ」
「食べてから、行きなさい」 と言うのです。
そして、
「あまり、無理して頑張るなよ」
などと言いながら、ぶ厚い財布からご飯代と、お小遣いを別にくれる。
爺のお爺ちゃんの日焼けした笑顔が忘れられない。
今年の、みちのくの桜の季節は早そうだ。
お墓参りも兼ねて、桜と菜の花の一関に行ってみるとするか。
そうだ、一関のグルメも探しながら・・・・
想い出も味わいながら「花柚」を後にした。