九義人 全25話 2023/10/01更新:7年後のすごく簡単な展開と孟宛を追加しました。

 

九義人は、9人の正義の人かな。全25話ですが、実際は、24話で物語としては完結します。

その後で1話がありこちらは楽しい内容です。

 

原作は同名の小説ですが、原作に、最後の1話が有るか分かりません。

 

9人の正義を求める仲間たちの戦いの古装劇です。

 

 

戦いと言っても、剣を持って戦うわけではありませ。

自分のため、正義を訴えたのに誰にも受け入れられず死を選んだ親友のため、頭を使い、忍耐を重ね、陰謀をめぐらし、正義を求める物語です。

 

 

物語は7年前の煙雨繡樓で刺繍師の丁茹が井戸に落ちて亡くなったことから始まります。煙雨繡樓は、淮州府にある有名な刺繍工房です。

ここは、吳廉と言う天下に名をはせた刺繡師が経営する刺繍工房で、

 

・経済的な後ろ盾

 閔州市舶提拳(海外輸出の承認権を持っている肩書)の趙寅を通じて、刺繍品を密輸出して大きな利益を得ている
 
・政治的な後ろ盾

 寧国公府夫人及び夫人を通じての刺繍品を皇太后に献上して得られる権威

 夫人の配下である淮州府の知府(政、司法、軍事を統括)陳之遠

 密輸で得た利益を賄賂として送っている、文繍院(皇室内の刺繍工房)の閻院使、禁軍副統領の謝指揮使

 

と言う後ろ盾もあり、名声もあり、金もあり、淮州府内では何が有っても怖いものなしです。

煙雨繡樓には、数十人の女性刺繍師、陳嬤嬤をトップとして刺繍師たちを管理する女性の菅家及び侍女たち。その中のたった一人の男性が、吳廉になります。

 

彼はこのような環境で、絶対的権力を持ち甘い言葉と柔らかな物腰で次々と女性たちが犠牲になっていきます。

この様に立場を利用したセクハラ、パワハラ行為が行われますが、誰も声を上げることは出来ませんでした。
 
 

7年前の物語は、親友が如何して死に至ったのか、現代の物語は、7年前に死んだ親友の仇を討つために集まってきた仲間たちとの話が展開されます。

 

 

主人公たち

 

藺如蘭(胡意旋) 一人目の正義の人

 

 

藺如蘭は煙雨繡樓の刺繍師です。

吳廉は君は優秀だとか、特別だとか言い、刺繍指導しながら肩に軽いタッチから始まり、外に連れ出して、甘い言葉をささやきます。

 

 

そして、一人居残りさせてたところにやって来て。。。

彼女は、吳廉に愛されていると思い込んでいましたが、単なる一つのターゲットでしかありませんでした。

彼女がそれを知った時、周りの人たちにどんなに反対されようと吳廉を訴えることを諦めませんでした。

 

7年前のストーリーは、彼女が中心となって回ります。

 

 

孟宛(吳倩)   煙雨繡樓の刺繍師 ⇒ 7年後 顧松菊 徐家大娘子 二人目の正義の人

 

 

藺如蘭と同じく、煙雨繡樓の刺繍師です。彼女は後から入って来た藺如蘭と親友になりました。

 

彼女自身も吳廉の毒牙にかかった人でしたが、藺如蘭とは異なり、事を荒立ててもどうにもならないことを知っていたので、吳廉を訴えようとは考えていませんでした。

 

藺如蘭が最初に吳廉を訴えた後は、親友として共に戦おうとします。そんな状況の中で彼女は、自身が妊娠していることを知ります。

妊娠がもとで藺如蘭の二度目の裁判に行けず、藺如蘭を死なせた事に自責の念を抱き、常に「討回公道」(正義を取り戻す)を仲間や周りの人達も訴えています。

 

7年後のストーリーでは彼女が中心となります。

 

 

劉薪(李佳航)  捕頭(淮州府衙の捕吏頭) 三人目の正義の人

 

 

7年前に劉捕頭は、井戸に落ちた丁茹のことを調べるために煙雨繡樓にやって来ます。

吳廉に賄賂を渡されおかしいと思いつつも事故として処理されます。

 

藺如蘭は、正義のために訴えると言って、自身の訴状を劉捕頭に渡します。

彼は訴状を上司の陳之遠知府に渡しますが、結局は陳之遠に握りつぶされます。

彼はそれでも諦めようとしなかったため、陳之遠は部下に命じて彼の腿を折らせ、家の捜査で高価なものが出てきたと、賄賂役人の罪を擦り付けられ、7年間牢に入れられることになります。

 

 

柳三娘(湯晶媚) 柳三娘 袁府的家妓 ⇒ 潯州府雀園 花魁 四人目の正義の人

 

 

柳三娘は、昔は劉三女でしたが、彼女も吳廉に同じ目に合いかけましたが燭台で彼の頭を殴り、煙雨繡樓を出て7年前の時点で袁府的家妓 柳三娘となっていました。

 

藺如蘭が、最初の訴訟を起こしたときに証人として出ましたが、家妓の言ことは信用できないと言われ彼女の証言は、正当に扱われませんでした。

 

その後袁府に迷惑が掛かるのを恐れて去って行き、潯州府雀園に行き着き潯州府雀園の花魁となります。

 

 

沈牧(張康樂)  淮州府衙の小捕吏 ⇒ 7年後 皇城司都頭  五人目の正義の人

 

 

彼は、7年前には淮州府衙の小捕吏でしたが正義の人でした。

藺如蘭の案件でこのような不正義が許せなかったため、仲間と対立して袋叩きにされます。

 

 

 

馮大(韓燁洲)  黒風寨的二當家 ⇒ 華獅鏢局  六人目の正義の人

 

 

彼は7年前は、黒風寨的二當家(黒風強盗団のNo.2)でした。強盗が正義の人か。。。

黒風寨當家の病の薬を奪い取るために、長風鏢局が送る薬材を盗もうとしますが、逆に傷つき追われていました。

 

そこを藺如蘭に助けられます。その後、黒風寨は長風鏢局に逆襲を受け仲間は散り散りになり、藺如蘭に別れを言いに来た時に、今後のことを聞かれ一人でも強盗は出来ると答えます。

 

彼女はそれだったら強盗するより鏢に成れば良いと言い、7年後には華獅鏢局の鏢頭になっていました。

 

 

黃嬌嬌(海陸)  黃記繡莊の黃掌櫃  七人目の正義の人

 

 

彼女は7年前は、刺繍用の糸だけを製造して売っていました。

煙雨繡樓は、彼女にとっては大きなお客さんに成るため、売り込みに励んでいました。

吳廉に認められ、煙雨繡樓を訪れた時にとある男性の姿を見かけます。

 

藺如蘭が、二回目の訴えを起こしたときの訟師(弁護士)趙玉誠が、煙雨繡樓で見かけた男性だったのです。

 

彼女は、この時に吳廉と趙玉誠が結託していて、この裁判に最初から勝ち目のないことを知り、将来吳廉を超すような刺繍工房を作り上げ、彼との商売関係を断ち切りたいと考えるようになったのでした。

 

 

 

李春風/李小手/李秀才(白澍)  読書人 スリ  八人目の正義の人

 

 

彼は、読書人(科挙を受けるために勉強している人)ですが、試験に合格したことは無く、スリが本業みたいなものでした。

 

7年前は、藺如蘭との直接的なかかわりはなく、彼女が亡くなってから更なる被害者となった田小玲の幼馴染でした。

 

 

田小玲(楊雨潼) 九人目の正義の人

 

 

7年前は、煙雨繡樓の刺繍師でした。藺如蘭の裁判のことは知っていましたが、自身には関係なく、またそんな目に合うことは無いと高を括っていました。

 

しかし自身も同じ手口で毒牙にかかり、その夜彼女の一家は一夜の内に居なくなり、彼女は家族と離れて尼寺に籠り、7年間ずっと心の安寧を求めていました。

 

 

吳廉(喬振宇)  煙雨繡樓主人
 

 

正義の人ではなかったので、忘れるところでした。

 

 

 

ドラマの進行

ドラマは、1話ごとに7年前と7年後をストーリーを交互に描きます。第18話以降は、7年後の今の話のみになります。

 

7年前の話は、藺如蘭を中心に彼女の正義の渇望と絶望からの死まで。

7年後の話は孟宛を中心に関係する正義の人達が、一人また一人と仲間に加わり吳廉を追い詰めて行く展開になります。

 

 

 

そして太鼓の音が響いた

藺如蘭は、劉捕頭に渡した訴状が取り上げられない為、淮州府の役所の横に置かれている太鼓を鳴らします。

 

よく、中国の時代劇で太鼓を鳴らすシーンがあります。この太鼓は、「冤鼓」と呼ばれ、「擊鼓鳴冤」は、この冤鼓を打って訴えること言うそうです。

 

「擊鼓鳴冤」の制度は、包公が開封府に赴任した後の官吏の治理の一環として導入されました。
それ以前では、訴訟を行う際に直接裁判所に訴えることは許されていませんでした。

包公(または包拯)は、宋代の中国の有名な裁判官であり、彼の公正で公平な裁定と強い道徳的原則によって広く知られています。

 

かなり横道にそれました。。。

 

擊鼓鳴冤によって裁判が開廷され、藺如蘭が吳廉を訴えます。

吳廉もやってきますが、彼女の誤解だと言い訳します。
柳三娘も昔に同じ目に合ったが、蠟燭台で頭を殴ったから傷が残っていると言い、事実だと強調。

しかし彼女が、袁府的家妓言った途端に周りから、出鱈目だと非難する声が上がります。

 

結果の判決の場面はありませんが、負けたということですね。

 

劉捕頭は、馴染みの豆花店の老板娘とこの案件は難しいが俺は彼女のために頑張るよと言い、老板娘と夜に会う約束をしていました。

 

約束の場所に、衛士たちがやって来て劉捕頭を取り押さえて連れて行きます。
劉捕頭の家を捜査したらお宝がいっぱい出てきた、足を折られて、七年間獄につながれることになります。

 

 

2度目の裁判

藺如蘭は丁茹の母親から、彼女が吳廉に強姦された直筆の訴えを書いた布を渡されます。

また、孟宛の従兄の趙玉誠訟師が事件を扱うことに同意したことで新しい証拠が出たして2度目の訴えを起こします。

また、孟宛は同じ被害者の高程程を説得して二人でこの裁判の証人になることを決めていました。

 

しかし、趙玉誠は裁判前から吳廉と結託していて、証拠として出した丁茹の直筆の布は、偽物にすり替えられていました。

 

裁判に出る予定にしていた高程程は、孟宛が姿を見せないことに焦りを感じていました、そのころ孟宛は妊娠していることを母に察知されて堕胎薬を飲まされ、もがき苦しんでいました。

 

結局高程程は、証人として名乗り出ず、孟宛は裁判に間に合うことはありませんでした。

 

 

 

藺如蘭の絶望と反撃

藺如蘭は、口では問題ないと言いながらも、2度目の裁判でも勝てなかった為に絶望を感じていました。

裁判の前から、吳夫人から騒ぎを収めるために妾として吳家に入るように言われており、当然拒否していましたが、裁判に負けてから一転して、同意します。

そして嫁いだ日の夜に藺如蘭が吳廉を煙雨繡樓の最上階へ誘い出します。

 

彼女は、簪で吳廉を刺そうとします、吳廉は彼女の手を自身の手でつかみ防ぎます。

彼女は逆に彼の手を握ったまま簪を自身の首に刺し、次に簪を抜き返り血を吳廉に浴びせます。

そして簪を彼の手に残したままで自身は、下へと落ちていくのでした。

 

吳廉は、殺人の捕縛されます。

すぐに陳之遠知府から寧国公夫人に知らせが入りますが、吳廉の品を皇太后に献上している身として、吳廉のスキャンダルが皇太后まで届くのを恐れた夫人は、事件の隠ぺいを図ります。

 

7年前だけのストーリーをまとめるとこのような内容になります。

これだけの内容を9話に渡って見せられたら、耐えられなくなって途中でギブアップのパターンです。

希望の欠片すら見当たらず、見るたびに落ち込むしかありません。

 

しかし、1話毎に7年前の悲しい話と7年後の正義を求める人たちの希望の話が交互に来ることで、次回はどうなるのと思わず見入ってしまいました。

ドラマの構成としても良くできていると思います。

 

 

7年後の展開:追記

正義を求める仲間が集まったからと言って、痛快に吳廉をやっつけると言う訳には行きません。

吳廉の反撃も多々あり、孟宛達も絶望的になり離散しかけますし、仲間も命を落とすことになります。

 

 

孟宛の決意:追記

孟宛は、最後の裁判を前にして休書を自分で書き夫の徐之暘に残します。

最後の別れに来た時に休書ではなく、和離書ではどうかと言われますが、それでは徐家の名声が保てないと和離書は固辞します。そして、彼女は徐家を出て行くのです。

 

休書と和離書
休書というものは、「七出」と呼ばれる以下の7つの理由で夫が一方的に離婚できます。
 1) 親に孝行しない

 2) 子供を産めない

 3) 不貞をす

 4) 妬みが強い

 5) 重い病気を持っている

 6) 他人のいさかいを起こす

 7) 盗みをする
の7つの行為を指します。
重要な点は、夫が妻に休書を出した場合、その後の妻の生活は非常に悲惨で困難となります。

妻には休書に書かれた内容に対して反論する権利は一切ありません。

 

和離書は、特に唐代や宋代によく見られました。

和離書には、財産の分割、子供たちの分割、そして協議の結果が詳しく書かれています。
和離書は休書と比べて、より公平な方法として考えられており、公になった場合、双方にとってよい影響があると特に女性には考えられていました。
 

和離書を手にした女性は、再婚する権利があります。しかし、休書を手に入れた女性は、他の家から求婚されることはないのです。
 

横道にしれましたが、これで休書に拘った孟宛の決意がよくわかると思います。

 

 

 

7年後の展開はどうなるかは、ドラマを見てください。一応結果だけ

 

 

判決

煙雨繡樓吳廉 姦污女子 私販繡品 行賄官員 打殺季春風 證據確鑿

罪名成立 依律判杖刑三十 流放西北三千里 終身不得赦
 

 

 

吳倩の物悲しげな表情が、物語と合っていて、秘めた怒りと情熱が感じられ、とてもよく演じていたと思います
吳倩の女優としての実力を実感したドラマです。

 

以上が、第24話までの内容です。笑いのあるシーンは、ほぼ無いです。

 

 

第25話として登場人物は同じでも、異なる物語が展開されます。

「もしも・・・が無かったら」です、こちらは最初から最後まで笑いに満ちています。

やっぱりドラマに笑いは必須です。

 

 

最後に一言

正義を求めるためとはいえ、煙雨繡樓を放火するのは問題だろ、これも犯罪ですけど。。。

 

久々に恋愛脳から解放されたドラマでした。