見惚れた。
表正面に、上弦の三日月、左肩にオリオン従えて、
煌めく星々と共に、家島集落の、灯の上に、鎮座ましませり。
馬手には、家島の漁火、弓手にはるか、神戸の街明かり。
空には、朝日を告げる、gradationの、仄かな色づき。
墨に染まる海面に、品よい鎌の、月の光は、銀の道。
刻々と、色合いを黒から、群青に変える空では、
時は良しと、星は身を引く。
オレンジの、帯に浮かぶ雲海は、瀬戸の海原、
島のごと輝く。
湯気を通した色彩は、まるでゴッホの色遣いのように、
心を魅了す。
そう、この眺めを楽しみに来たんだよ。
あぁ、この目に感じた驚きを、僕は写真では伝えられない。
眺めと時を、存分に堪能した、至福の瞬間だった。