何らかの負荷をかけての運動を行うには当然、基礎代謝で得られる以上のエネルギーが要る。
体内に貯蔵されているエネルギー源は多い順に脂肪&脂肪酸、タンパク質&アミノ酸、
ぶどう糖&グリコーゲン、ATP(Adenosine Tri Phosphate)である。
エネルギー源として消費される順はこの逆になるが、
まず消費されるATPは筋肉内に存在するが運動時には数秒から10秒前後で枯渇する。
次に使われるグリコーゲンは筋肉内と肝臓に存在するが運動には主に筋肉内のそれが使われ、
肝臓内のGlycogenは血糖値の維持に主に使われる。
この血糖値の維持は重要で、糖のみをエネルギー源とする脳細胞は
血糖値がおよそ50以下となると運動継続を拒否し、体は動かなくなる。
骨格筋内のglycogenは最大負荷運動時には30分前後で枯渇する。
次に消費されるのがタンパク質で、筋肉実質が分解され代謝される。
強い負荷をかける持続時間の長いスポーツの場合、当初の汗の臭いと負荷が
かかってからの汗の臭いがかなり変わる(後者のほうが臭いが極めて強い)理由は
タンパク質が分解され、アンモニアが産生され汗の中に含まれるようになるからである。
上記の物質は各々が枯渇してから次のエネルギー源になるのではなく、ある程度
同時進行で消費されるが、枯渇していく順序は 記述したとおりである。
最後に重量あたり最もカロリー量の大きい脂肪、脂肪酸がエネルギー源となるが
これらが脂肪分解の代謝経路を経て解糖系に入るには上述の順番から考えて
かなり時間がかかる。
そのため、脂肪からエネルギーが獲得できるまでのtime lagの間に血糖値が下がりすぎて
脳が運動維持を拒否したり、骨格筋分解が進行してしまうと筋肉のdamageが大きくなり、
やはり活動維持に支障をきたし、さらに運動後の筋肉痛も強くなる。
ATP,glycogenなどは解糖系や乳酸からの再合成で補充されるがその為の補給も
水分補給とともにある程度以上の長時間運動する場合は必須の重要な問題である。
これらを踏まえて考察した現在使用しているサプリメントについて記す。
毎回ではないが準備して適宜サプリメントも使っている。
ある程度以上の負荷をかける場合は有効だと考えている。
1;カルニチン。やせ薬と勘違いしている人やそういう効能で売り込んでいるのをみるが、
痩身効果は甚だ疑問である。その理由として、カルニチンは脂質の搬送にのみ関与するからである。
従って、いくら脂質を搬送してもそれをエネルギー源として利用しない=運動しない場合
痩身効果が存在するはずがないのである。
カルニチンの効果は脂肪酸のミトコンドリア内への搬送と、
ミトコンドリア内のプロピオニル基の抑制=プロピオニルCoAのミトコンドリア内からの汲出しを
行うことによりCoAの濃度を下げミトコンドリア膜の保護を行う。
もう一つは脳内でアセチル-カルニチンとして取り込まれた場合、脳細胞内で神経物質である
アセチルコリン増大の効果もある。
また脂肪(fat, Triglyceride)は勿論そのままでは吸収されることはないため、脂肪酸(fatty acid)に
代謝させる必要があり、これにはcaffeineが促進的に作用する。
2;BCAA(Branched chain amino acid)
上記で述べたようにタンパク質である筋肉組織の分解、ダメージを避けるために
エネルギー源としてのまたはダメージを受けた場合の修復物質としてのアミノ酸の
存在意義は大きいと思われる。
従って、運動直前から糖を伴って補給し、血中濃度を維持することで「エネルギー源として」
筋肉が分解代謝されるのを回避することは期待できる。
この効果にはinsulineも関与している。
また、脳内にセロトニンが上昇した場合疲労感が増大し運動継続が難しくなるが、
このBCAAが脳血管関門(Blood Brain barrier)でserotonin channelをblockし抑制することにより
それを回避する可能性が考えられる。
3;糖の補給としては吸収速度から、ショ糖ではなくamylaseの代謝を必要としない
ブドウ糖が望ましい。
続く